「輪廻のラグランジェ Season2 」 の第10話。
原作・制作協力:Production I.G、総監督:佐藤竜雄氏、監督:鈴木利正氏、シリーズ構成・脚本:菅 正太郎氏
「裏切りの空は鴨川」 シナリオ:待田堂子氏、絵コンテ:吉川博明氏、演出:鳥羽聡氏
ディセルマインの乱心によって、遂にレ・ガリテとデ・メトリオが交戦状態に入り、デ・メトリオ艦が一隻撃沈されるという非常事態。
それでもディセルマインを信じ続けるヴィラジュリオは、グラニアの言葉も聞かず、単身レ・ガリテ本隊へと乗り込んで行きます。
ディセルマインは、モイドに洗脳されているとか、操られたりしてるのかとも思いましたが、元々持っていたポリヘドロンの民を
思う強すぎる気持ちと、過去にヴィラジュリオに裏切られた (と思っている) 心の闇を、モイドに付け込まれてしまい、それが
心に 「淀み」 を与え、伝説の “鬼” を立たせてしまった ―― ということでしょうか。
ヴィラジュリオとディセルマインの過去については、Season1の頃から断片的に語られてきた部分もありましたが、今回の10話
と同時期に公式サイトで公開された、 「碧落のメモリア」 の第四話、第五話と合わせて見ると、過去の伏線に繋がり、二人が
取った行動の背景が見えて来るようです。
今回ディセルマインが、 『私が最も忌み嫌ったあの連中』 、 『私に剣を突きつけたあの者共』 と言ったのは、「パ・ドロス」 の
王子ジュディアーノと、ジュディアーノに取り入った取り巻き達のことでしょう。「パ・ドロス」 とは、ポリヘドロンを構成する恒星系
の一つで、“反ポリヘドロン” 、 “反レ・ガリテ” を掲げる新興国家。
それまで良好な関係を築いていた、ヴィラジュリオとディセルマインでしたが、パ・ドロスとレ・ガリテ両国間の緊張が極限状態に
達し、遂には星間戦争 「パ・ドロス戦役」 に発展すると、状況が一変してしまいました。
この戦いに出撃するディセルマインを、ラグランジェの花咲く庭で、ランとヴィラジュリオが見上げていたのが、「鴨川に来た男」
の回想シーンであり、ヴィラジュリオが出陣前に 『この戦い (パ・ドロス戦役) を話し合いの内に収めてみせる』 とユリカノに
約束していたのが、 「勝浦発→鴨川行」 の回想シーンですね。
ユリカノに約束した通り、何とか戦争を話し合いで解決させようと考え、ジュディアーノに連絡を取ったヴィラジュリオでしたが、
この行動がディセルマインの怒りを買い、「裏切り者」 の烙印を押され、ウ・ゴーへ放逐される要因となってしまいました。
全ては話し合いで収められるとの 「理想」 を持っていたヴィラジュリオでしたが、自分の行動を 『ポリヘドロンのため』 と信じて
疑わないディセルマインが、敵国の王子と接触を取ったヴィラジュリオを “裏切り者” と受け取る可能性を考えなかったのは、
当時のジュビ兄の甘さであり、ディセルにとって “信念” がいかに大事なものかを、理解出来ていなかったこともあるのでしょう。
その後、追い落とされたウ・ゴーでのムギナミとの出会いや、ウ・ゴーからの脱出は、「曇り のち 鴨川」 で描かれていました。
この時点では、自分こそディセルマインに裏切られたと思っていた筈のヴィラジュリオは、反ポリヘドロン義賊同盟 (キッス)
を立ち上げて、レ・ガリテに反旗を翻すわけですが、そこからどのような心境の変化を経たら、今度こそポリヘドロンのために
ディセルマインと共に歩む ―― と決意し、デ・メトリオの王座に就くことになれるのかは、今のところよくわかっていません。
その辺りが 「鴨川デイズ」 で語られるのかと思ってましたが、案外さらっと王になっちゃってましたし。
そんなジュビ兄の決意も知らず、ディセルマインは 「ポリヘドロンのため」 という大義すら忘れ、『貴様さえ殺せればそれでいい』
と、自らの負の感情に取りつかれてしまいました。出撃前のアルヴィリウムを見る限り、コックピットは頭部にあるようなので、
ジュビ兄生存の可能性は低い筈なんですけど…このアニメでそんな重苦しい展開にはならないだろう、という気持ちもあります。
やっぱり最後にまどかが鴨川の空に 『まるっ』 を描くには、ヴィラジュリオの生存は欠かせないでしょうしね。
今回は、「不戦の誓い」 を交わした三人娘が、どうやってディセルマインを止めるつもりなのか、注目して見ていましたが、
まどかが 『誓いを破る時も三人一緒』 と言い出したので、思わず 「破るのかよっ!」 と突っ込んでしまいました (笑)。
そして、三人娘に自作 (?) のポーチまで付けて、弁当を渡しにファロスまで来た浩や、田所が 「踵落とし」 と言ったのを
聞いて、『捻りこみからの浴びせ蹴り、あれは延髄切り』 と冷静に突っ込みを入れた渡部、さらに 「鴨川の海を守るために」
出撃したイゾ、地球に戻ってきたキリウスとアレイなど、サブキャラにも見せ場があって良かったと思います。
さて、遂に最終決戦といった感じですが、ラスボスがヴィラジュリオを殺した (ように見える) 実の兄というのは、ランにとって
キツイ展開になりましたね。この後モイドがどう動くのかはわかりませんが、モイドとのケリをつけるのはアステリアの役目に
なったりするのかな?Season1のラストで言っていたように、アステリアが 「消え失せる」 つもりなら、ですが。
まるっ。
―― 第十話 「裏切りの空は鴨川」 (了)
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