『わたし、大人になったら――――』
「シスタープリンセス リピュア キャラクターズ」 の咲耶ストーリー、「ホーリーウェディング」 です。
絵コンテ、演出、作画監督は長濱博史氏。
『離れていても、私とお兄様は、運命の赤い糸で結ばれているのよ』
「リピュア キャラクターズ」 の最終回となる咲耶のエピソードは、「シスプリ」 の世界観を現実的に考える上では避けて通れない重要なテーマを持って来ました。近親者に対する恋愛の結末、絶対に結ばれない運命、そして夢の終わり。
「兄」 に対する感情は妹によってそれぞれ違うでしょうが、その中でも咲耶は兄を本気で 「愛している」 妹の一人であり、他の幼い妹たちや夢見がちな妹たちと違って、「現実」 が見えてしまっている妹の一人でもあります。
普段は兄に対して精一杯の甘えを見せる咲耶ですが、心の奥ではこれだけ深い葛藤を抱えた上で気丈に振舞っていたのだと考えると、このエピソードで見せる咲耶の姿は、その想いが一気に溢れ出してしまった結果なんだろうなぁと思います。
『あなたを、永遠に愛することを …… 誓います』
そして 「現実」 を見ている咲耶との対比となるのが、純真無垢に 「夢」 を見ていた頃の幼い咲耶。
透き通る青空の下、希望に満ち溢れた少女の幸せな筈の時間は、
光が見通せない曇天の下で、突き付けられる現実に胸を締め付けられる日々へと変わってしまった。
もちろん咲耶の 「お兄様」 としては、いつまでも夢の続きが見られる 「終わらない物語」 は、シスプリという物語においてひとつの最高の形だと思いますが、今回の 「ホーリーウェディング」 は、兄を含めた 「キャラクターの成長」 という、物語に欠かせないもうひとつの形を描いているんじゃないかと思います。
妹の成長を望まない兄は居ない…という前提で考えれば、個人的にはこれが決して悪いことだとは思いません。
『解ってる……。いくら想っても、叶うはずが無いことぐらい、もう十分解ってる』
『きっと本当は、祝福の時、わたしの横で微笑むのはお兄様じゃなくて……』
この教会での場面は、希望に満ちたちび咲耶と、悲嘆にくれる今の咲耶との堀江由衣さんの演じ分けが凄かったです。特に、全てを知ってしまった少女の 「お願い」 ―― 悲痛な叫びは、聞いていて強く心に残りました。
『お願いです、神様』 | 『お願い……』 |
『どうかどうか』 | 『お願い……』 |
『ずっと』 | 『お願い、だからっ!』 |
『お兄様の傍に』 | 『お兄様の傍に……!』 |
『居させてください』 | 『居させて……』 |
『お願い』 | 『お願い』 |
咲耶の願いは昔も今も変わりません。言葉に込めた思いの強さや、神様を信じるか、願いが叶うと信じるかに関わらず。それは、「ずっとお兄様の傍に居させて欲しい」 ―― ただそれだけ。
Thinking of you in this special day. (この特別な日に、あなたのことを想います)
「特別な日」 にどんな意味が込められているのか、若木に芽生えた新緑は一体何を比喩するのか、そしてラストで咲耶の 『わたし、大人になったら――――』 の言葉が最後まで発せられなかったのは何故かなど、咲耶の状況を暗喩していそうな部分がありますが、深くは考えません。
「特別な日」 に咲耶が想うのはお兄様のこと ―― ただそれだけで十分かなと。
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