「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」 原作:伏見つかさ |
第13話 「妹が兄に恋なんてするわけない」。脚本:伏見つかさ、絵コンテ:小野学、総作画監督:渡邊敬介、演出:西片康人
原作は未読です。とりあえずアニメだけを見て、桐乃視点から見た事の顛末は理解した 「つもり」 になりました。
桐乃が京介に幻滅した理由、陸上を始めた理由、モデルやその他色々なことで頑張ってる理由、麻奈実に敵愾心を持つ理由、
そして妹もののゲームに堕ちていった理由などなど。ここでは、桐乃と麻奈実の考え方の違いについて書いてます。
一応先に言っておくと、自分は桐乃派でもないし麻奈実派でも無いです。ついでに黒猫派というわけでもありません。というより、
このアニメでそこまでハマってるキャラクターは居ないと思います。強いてあげれば…加奈子の本音トークは好感が持てるかな。
なので、自分ではニュートラルな視点で見てると思いますが、結局は一個人の見解であることはご了承ください。
まぁ小学生くらいの 「お兄ちゃん大好き」 な妹からすれば、運動も出来て勉強も出来て桐乃に優しい京介は身近なヒーローに
見えるのはわかります。そして、大好きなお兄ちゃんが妹離れしてしまい、桐乃より仲良くしている (ように桐乃からは見えた)
麻奈実に嫉妬するのは当然の流れです。
桐乃は京介に憧れて、運動も勉強も頑張って、他人の相談にも積極的に乗ってあげるような、頼れる存在になっていきました。
しかしその一方で、桐乃が目標としていた 「やれば出来る子」 の筈の京介は、何もやらなくなってしまった。
確かに桐乃の思いは、身勝手で自分の理想を京介に押し付けているだけに見えるかもしれませんが、それは本来ごく当たり前
の感情だと思います。人が誰かに憧れて、「その人のようになりたい」 と考えるのは普通のことですし、その人が自分の理想と
する姿からかけ離れた姿に変わってしまったら、… しかもそれが 「出来なくなった」 のではなく、「やらなくなった」 のだとしたら、
目標を見失わせた怒りの矛先を、変わってしまった本人と、変えてしまった環境 (麻奈実) に向けるのは無理からぬ所かと。
そして、アニメから読み取れる京介の交友関係を見れば、京介が堕落した (ように桐乃からは見えた) のが、麻奈実のせい
だと考えるのも、桐乃からすれば自然な流れだとも思います。
「かっこいいお兄ちゃん」 が、桐乃の妹フィルターを通した幻想で、麻奈実が言うように最初からそんな京介なんか居なかった
のかはわかりません。でも子供の頃は “結果” が出てたので、麻奈実の言葉に違和感があるのも事実ですが、後で桐乃が
『私が憧れてた人は最初からどこにも居なかった』 と言ってるので、結局は桐乃の作り出したヒーローだったのかもしれません。
ただ、平凡だからダメとか、かっこ悪いからダメなんてことはなく、そんなものは主観によっていくらでも変わりますし、桐乃が
京介を “ヒーロー” だと思えば京介は “ヒーロー” なんだと思います。実際、“現実” を知ってしまった後の桐乃でも、京介が
自分のために体を張って頑張ってくれている姿を見て、やはり子供の頃と同じ感情を持ち始めていたように見えます。
だから本来、その感情を麻奈実に否定することは出来ない筈なのですが、麻奈実は 「麻奈実から見た普通の京ちゃん像」 を
桐乃に押し付けてしまいました。この二人の主張が食い違うのは、それが原因だと思います。
そこでの麻奈実の受け答えが、火に油を注ぐような言い方だったのが、さらに二人の関係を悪化させたのは明白なんですけど、
アニメを見ていた限りでは、麻奈実は自分に非があるとは全く考えてないようですし、その辺りがどうも麻奈実というキャラクター
の本心を、見えづらくしてる部分はあります。実際問題として、麻奈実に非があるかどうかは、ここでは置いておきます。
『お兄ちゃんに恋する妹なんて気持ち悪い』 という麻奈実の考え方は、確かに世の理からすれば当たり前の事なんですが、
「お兄ちゃん子」 や 「お父さん子」 など、恋愛対象かは別にして家族に愛情を向けるのは小さい子供にはよくあることですし、
桐乃が “兄離れ” の極端に遅い娘だと考えれば、『気持ち悪い』 とまで言われるほどのことでも無いのではないかと。
麻奈実は、桐乃の感情を最初から 「恋」 だと決め付けていたわけですけど、「家族愛」 だと考えればそれほど異常でもない
感情だと思います。まぁ実際の桐乃には、恋愛感情に近しいものがありそうですが、それを抜きにしても自分の身内が自慢
できる人物なら、誇らしいと思うのは当然ですし、それが 「誰かのせいで」 変えられてしまった (と思っている) のなら、否定
したくなる気持ちもわからないでは無い筈です。
今までの麻奈実は、細かいところに気配りが出来て、誰にでも平等に優しく接することが出来る人格者なイメージに見えて
いたわけですが、得てしてそういうキャラは心の奥底に昏い感情も持ち合わせているわけで、それを表に出すのがあやせで、
内に秘めて決して表に出さないのが麻奈実という感じです。だけど、言葉の端々からそれが垣間見えることがあるのかな、と。
ただ、結局それも自分が作り出した麻奈実のイメージでしかなくて、実は普段から他人にキツイ言い方をしてるかもしれないし、
アニメで映ってる麻奈実は、たまたまおっとりした性格の部分しか出してないのかもしれない。要するに、他人がどう見えるか
なんてものは、個人の見方、見え方によっていくらでも変化するんですよってことを、今回の麻奈実の言葉から汲み取れれば、
一応正解…と思っていいのかな。
それらを考慮して桐乃と麻奈実の確執を見た場合、自分は桐乃を支持します。でもとりあえず、13話が桐乃視点で描かれて
いる以上、そう捉えるしか無いという気もします。ただ、麻奈実はサンタを信じる子供に 「サンタなんて居ないんだよ」 と笑顔で
現実を突きつけるような、そんなリアリストぶりに 「見えてしまった」 ので、今回は麻奈実寄りの考え方は難しかったです。
まぁ、この 「先」 を見てどう感じるかはわかりませんが、原作を知らない以上、現時点で感じられるのはこんなところですね。
―― 第13話 「妹が兄に恋なんてするわけない」 (了)
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