「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」 BD&DVD限定エピソードの番外編 「空の音・夢ノ彼方」 です。
一応ネタバレがありますので、未見の方はご注意下さい。
今回はカナタが第1121小隊に配属されて、1年が経とうとする頃のお話。番外編という位置づけではありますが、
内容的には正統な最終回と言っても差し支えないエピソードとなってます。それは、サブタイトルに 「空の音」 という
メインタイトルになっている言葉が入っていることでもわかります。
前の番外編 「饗宴・砦ノ戦争」 がドタバタコメディに徹していたのに対して、ゆるやかに穏やかに小隊の 「夢」 について
語っていく、ある意味 「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」 らしい話になっていると思います。
まずは今回やたらと多い、フランス語などの文章の意訳から。クレハの読んでる本 「LES SOINS D'URGENCE」 は、
後で判明するクレハの夢から考えれば、医学書だろうと推測出来ますが、一応 「救急医療」 というタイトルのようです。
次に、リオが読んでいる 「Theorie aeronautique」。こちらもリオの夢どおり 「航空理論」 という本。
カナタが持っている 「dossier de partitons」 は、直訳すると 「楽譜の書類」 という感じです。
クラウスが持ってきた書類。「Leutnant arcadia」 と書いてあると思いますが、これはドイツ語で 「アルカディア少尉」 に
なるのかな?ヘルベチアはフランス語が元で、ローマはドイツ語って区分けなんでしょうか。一応リオは最終回で少尉に
なっていたのでたぶん合ってるとは思いますが、他のものは例によって合ってるかどうかはわかりません。
そして今回も小隊の車のシートベルトは、伸びすぎて欠陥品にしか見えません(笑)。
しかし、礼拝施設がチャペルなのに横に絵馬があるってのは相変わらずカオスな世界観です。
まぁ八百万の神々を崇拝してるので、基本は神道に準じてるんだと思いますが、やっぱり違和感がありまくりですね。
ユミナが夢を語る時に言った 「還俗(げんぞく)」 というのは、一度出家した者がもとの俗人に戻ること、とのこと。
でも、ユミナは服のセンス悪いですからねぇ(笑)。ユミナとカナタの温度差の違いが笑えます。
久々に見て誰だっけ?と思ったのがマリア。さすがに第四話で1回登場しただけじゃ、印象薄いです。
しかし実は親方とナオミの一人娘だったそうで、ナオミの家を出てカールの工房で働いるんだとか。
「炎の乙女は命を守る――」
本編では終盤になって、その言い伝えの内容が180度変わった「炎の乙女」 の伝承。やはりセーズに伝わるものよりも
ローマに伝わるものが真実に近いものだったようです。そしてセーズで行われている 「水かけ祭り」 は、どうやらその贖罪
の意味で行われていたものが、いつの間にか都合のいい形に変えられてしまったようですね。
大昔に乙女達を死に追いやった人々が、追悼のために行った祭りが、いつしか彼女たちの自己犠牲の美談にすり替わった
しかし過去がどうであれ、「今」 に生きる人々が夢を持てるのが炎の乙女のおかげなら、それはすごく素敵なこと ――
というカナタの考え方は、なかなか前向きで良いんじゃないかと思います。
過去の過ちを悔やんで、慙愧の念をもって祭りを執り行うよりも、過去の行いによって今の 「生」 を得られていることに
感謝して祭りを楽しむことの方が、よほど炎の乙女たちへの報いにもなると思えるので。
そして物語の根底に横たわる 「世界の終焉」 について。今までの断片的な情報からも、この世界がかなり危機的状況で
あることは言われてましたが、ノーマンズランドの広がり方を見るとそれは想像以上のようです。
それでも、リオの夢に通ずる 「この世界のどこかにあるという、新たな命が芽生えている土地」 の話が救いとなります。
世界は 「絶望」 に覆い尽くされているけれども、そこには確かに 「希望」 も残されているんだと。
そしてそれを探し出すことを、いつか必ずやり遂げてみせるというリオの強い意志。
確かにフィリシアの言うとおり、それは方法がハッキリとは分からないし身近にも無い、遠くてふわっとした 「夢」 ですね。
でも、ロストテクノロジーのタケミカヅチを復元させたノエルが居れば、航空機復活はそれほど遠い未来では無さそうです。
『私、ずっと先輩に付いて行ってもいいですか?先輩と一緒の夢が見たいんです』
しかしリオの夢を聞いて決まったカナタの夢――。これって捉え方によっては、完全にプロポーズな気がしますけど(笑)。
クレハは衛生兵だった母親のように、人を救える軍医になることが夢。さすがは小隊一のしっかり者らしいです。
そしてノエルはタケミカヅチ同様、ロストテクノロジーの再現が夢とか言い出しそうでしたが、意外にも 「可愛いお嫁さん」。
でも、フィリシアの夢が語られなかったのは何故でしょうか。フィリシアにとっては 「私のあなた達」 が夢ってことなのかな。
『行こう、夢のその先に。たとえ、いつか世界が終わるのだとしても。その瞬間までは、私たちの未来が――…』
久しぶりに 「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」 を見ましたけど、やっぱり面白いです。最近見た中でも、好きなアニメのひとつですね。
―― 第十三話 「空の音・夢ノ彼方」 (了)
「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」 の画像の著作権は全て著作権者に帰属します : © Paradores・Aniplex/第1121小隊
【関連記事】 ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 番外編 第7.5話 「饗宴・砦ノ戦争」
copyright © 2009-2018 月 奏 | |