西尾維新氏原作の 「刀語」 第七話。原作は未読です。
今回の相手は踊山と死霊山を壊滅させ、清涼院護剣寺を制圧した 「化物」。虚刀流七代目当主・鑢七花の姉、鑢七実。
宿命の姉弟対決。どうやらお姉ちゃんの登場は真庭忍軍や否定姫にとっては想定外の出来事であり、
お姉ちゃんにとってはこれこそが七花をとがめに預けてからずっと望んでいた結末のようです。
七実にとって父・六枝を切り殺した七花は、この世で唯一自分に 「死」 を与えてくれるかもしれない 「刀」 であり、
その刀を研いでもらうために、とがめの変体刀蒐集に賛同して七花を不承島から送り出した、ということだったのかなと。
誰よりも 「死」 を身近に感じながら、何よりも 「死」 とは縁遠い存在であった七実。
だからこそ他人の死には頓着せず、それでいて自分自身の死には執着していた…ということなんでしょうか。
ただ、「小指一本しか使わない」 と言って実際は小指一本 「以外」 を使ったり、「よくぞ私を殺してくれた」 と言うつもり(?)
が 「よくも私を殺したわね」 と言ってしまったり、「良い」 と 「悪い」 を何度も言い換えたりと、生と死、嘘と真、表と裏、
善と悪など、二つの相反する性質を持つのが七実なのかもしれないなぁ、とは感じました。
そう考えれば、人を 「殺す」 刀でありながら、人を 「生かす(活かす)」 特性を持つ悪刀・鐚が、七実を刀の所有者として
「選んだ」 のは必然なのかもしれません。この辺はちょっと原作版を読んで確認してみたい気がします。
否定姫に関しては変体刀に目をつけて何をたくらんでるかはまだ分かりませんが、「虚刀流を表の世界に引っ張り出した」
と言ってるところを見ると、とがめに変体刀を蒐集するように差し向けたのには、否定姫が絡んでるってところでしょうか。
七実 『私はあの時、父さんに殺されても良かったんだから』
そして七花が六枝を殺した理由。聞いた感じだと、六枝が七実を殺そうとしたところを、七花が七実を助けるために
六枝を殺した…というのが真相のようです。ただ、なぜ六枝が七実を殺そうとしたのかはまだ謎ですね。
この結末を見てしまうと、七実との戦いまでに七花の感受性が育っていたことが、果たして良かったのか悪かったのか…。
まぁたった一人の肉親の死に悲しむことが出来ないよりは、悲しむことが出来たのは良かったんだろうとは思います。
ただ、とがめが七花を人間扱いしたことに対して七実が嫌味を言っていたのは、七花の感受性を育ててしまったことで、
七花が自分を殺す時に悲しんでしまうのが嫌だったからなのかなと。最後の言葉も良い方に捉えれば、自分が悪者に
なることで七花に自責の念を与えることが無いようにという、姉として弟に見せた最後の優しさだったのかもしれません。
―― 第七話 「悪刀・鐚」 (了)
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