ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第四話 「梅雨ノ空・玻璃ノ虹」
アニメノチカラプロジェクトのオリジナルアニメ「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」の第4話、 「梅雨ノ空・玻璃ノ虹」です。
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今回はノエル回です。
まずは買い出しでナオミの店を訪れたカナタとノエルですが、このシーンで色々と伏線になりそうな話が出て来ました。ノエルとナオミの会話を聞くと、1121小隊では 「兵隊らしくない何か」 を出荷しているようで、それをカナタには教えていないようです。さすがにこれだけの情報では、何を出荷しているのかこの時点ではわかりません。
それと、この世界の状況を知る上での重要そうな手がかり。カナタがイルカを知らなかったり、そのイルカをノエルが説明する時に 『まだ海に生物が居た頃の海生哺乳類』 と言っていること。つまり原因はわかりませんが、この世界の海洋生物は既に絶滅している・・・ということでしょう。そういえば、2話では人口が昔に比べてかなり減っているようなことも言ってましたね。
そして、カナタに『ノエルちゃんほんとに凄いよね。あんな複雑な機械、ちゃちゃっと直してて』 と言われた時にノエルが返した言葉が、『機械は・・・裏切らない・・・から』 でした。これは、ノエルが昔誰かに裏切られた経験がある、ということに繋がりそうな気配がします。ノエルが無表情で無口であまり人とのスキンシップに慣れてなさそうなのも、ずっと 「裏切らない機械」 であるタケミカヅチの修理に没頭しているのも、人間よりも機械と一緒に居る方が落ち着けるからとか、そういう理由なのかもしれません。
カナタの言葉にあった 「パラドールの誓い」 というのは、おそらく 「国家に忠誠を尽くします」 とか、「命を賭して戦います」といった入隊宣誓のことだと思いますが、 パラドールというのはスペイン語で 「休息所」 という意味があるようで、スペインなどの高級ホテルの名前に使われているようです。「セーズ」 のロケ地となっているスペインのクエンカやアラルコンにもパラドールがあるみたいなので、言葉の由来はたぶんこれだと思いますが、作中ではどのような意味で使われているのかは不明です。
セイヤに 『人殺し』 と呼ばれてもそれに反論しなかったノエルですが、それはいくら否定したところでノエルが軍人であるという事実は変わらないということと、ノエルが整備しているタケミカヅチは、かつて人を殺したことがある兵器であるということが理由となっているようです。いくら 「裏切らない」 機械が好きでも、ノエルはそれが人を傷つける道具として使われる可能性があるということもわかっていて、だからこそセイヤの言葉でそれを再認識させられてしまい、どうすればいいのかわからずに悩んでしまったのでしょう。
そんなノエルの悩みの根本的な間違いに気づかせてくれたのがカナタでした。自分とリオのラッパの違いを例に挙げて、人によって奏でる音色が違うように、戦車も使う人によって変わる筈なんだと。しかし、自分のラッパが上達しないことを 「才能の違い」 だと考えてしまっていたカナタの悩みもまた間違っており、それをガラス職人のカールに教えられます。
確かに、「機械」 も 「ガラス」 も 「楽器」 も、扱う人によって様々に形や音が変わってくるものだけど、その良さを引き出すためには、自分の主張を押し付けるだけではなく、相手の声にも耳を傾ける必要があるのだということを。
カナタは、リオの指導によって上手く音を出せるだけの下地は出来ていた筈ですが、今までラッパに対するアプローチの仕方 (無理やり音を作ろうとしている) が間違っていたために、上手く音が出せていませんでした。それに気づかせてやるために、今回は 「マイスター」 と呼ばれるカールの職人としての豊富な経験が必要だったのでしょう。
そしてノエルは、人との接し方も結局機械に接するのと同じなのだと気がついたようです。ノエルは何らかの原因で、「機械だけが友達」 みたいな性格になってしまったようですが、自分の見方が変われば相手の良い所も悪い所も見えて来るものであり、それを見極めるには相手の声に耳を傾け、相手を理解出来るだけの経験も必要になってくるものなんだと。
それは、カナタが取るスキンシップに最初は戸惑いを見せていたノエルが、最後は抱きついてきたカナタに身を預けて、クレハにも 『初めて』 と言われた笑顔を見せたことが何よりの証だったんじゃないでしょうか。
ちなみに、今回のサブタイトルにある 「玻璃」 というのはガラスや水晶の事なので、「玻璃ノ虹」 とは(タケミカヅチの) レンズに反射された光が何色もの色を持つ虹を作るように、機械やガラスや楽器も「職人」というレンズを通して、様々な色を見せてくれる・・・ということを表現しているのかな、と思います。
そういえば全然関係ないですけど、ノエルってボクっ娘だったんですね。
―― ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第四話 「梅雨ノ空・玻璃ノ虹」 (了)
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