「輪廻のラグランジェ」 の第5話。
原作・制作協力：Production I.G、総監督：佐藤竜雄氏、監督：鈴木利正氏、シリーズ構成・脚本：菅 正太郎氏

「鴨川に来た男」 シナリオ：梅原英司氏、菅正太郎氏、絵コンテ：上坪亮樹氏、演出：上坪亮樹氏

---

『ラグランジェの花言葉は、自由、魔力、慌て者』

冒頭のランの台詞で、タイトルにもなっている 「ラグランジェ」 というのが、花の名前であることが明かされましたが…。
「輪廻のラグランジェ」 というタイトルの真の意味は何なんでしょう。

イメージからすると、 「自由」 はまどか、 「魔力」 はムギナミ、 「慌て者」 はラン…という感じになりますが。

そして、レ・ガリテの王女であるラフィンティと、デ・メトリオの王子であるヴィラジュリオの過去の記憶。以前は友好関係に
あった二人でしたが、現在はランがきっぱりとヴィラジュリオのことを 「敵」 と言い放ってますし、これだけ爽やかな好青年
だったヴィラジュリオが、浩とタメを張るくらい胡散臭いオッサン （笑） になっちゃうとは。

何があったらこうなるのかはわかりませんが、この辺は結構重要な伏線になりそうなところですね。

今回もポンコツっぷりを遺憾なく発揮するランは、バットを逆さに持って真剣な顔で打席で構えてたり、ムギナミが言った
『オニイチャン』 をコードネームだと勘違いしたり、本人は至って大真面目にやらかしちゃってるところが笑えます。

そしてそれとは全く関係無いですが、部室でランがまどかに返事をする時の 『わん』 が、いつもより可愛く思えました。
これはたぶん、普段無表情で言ってる 『わん』 を、珍しく笑顔で言ってたからじゃないかな、と。

まどかの方は、よう子譲りのガラの悪さを見せて、浩に 『行け』 と命令するところが面白かったです。でも、ヴィラジュリオが
まどかのパンツを見て（？）、色のことを言ってたっぽいですけど、制服の下にはいつも水着を着てるのかと思いました（笑）。

ムギナミは裏がある性格かと思いましたが、逆に自分がやりたいことをやってるだけで、裏表が無い性格なのかもしれません。
学校が楽しいから学校に通い、ジャージ部が楽しそうだからジャージ部に入部して、戦う必要があれば迷わず戦うけど、今が
戦う時でなければ、たとえ “敵” であるランとでも仲良くやっていくことが出来る、と。

つまり、割り切ってるというだけで、そこに裏は無いんじゃないかなという風に見えてきました。これは元々 “敵” であるランに
対して私怨などが無いからでしょうし、「お兄ちゃん」 への依存度を見ると、ムギナミの行動原理は 「ヴィラジュリオのため」
というただ一点だけで、“自分の意思” と呼べるようなものが無いのかもしれません。だから割り切ることが出来るのかなと。

まどかはランもムギナミも同じように友達だと思っていて、だからこそムギナミのように割り切った態度でいられるのが理解
出来ないんでしょうけど、これはムギナミの言葉を聞くと、育った環境の違いにも原因があるのかもしれません。

ムギナミにとって、今まで友達と呼べるような存在は居たことがなく、だからこそ友達との距離感がつかめずにいて、まどかと
敵になるつもりはないけど、ずっと一緒に居られる存在だとも思っていなかった。逆にまどかにとって友達は、いつも一緒に
笑いあったり、はしゃいだり、時には喧嘩したりしながら、ずっと関係が変わらないのが当たり前な存在だと思ってるんでしょう。

だからまどかには、友達になったムギナミとランが敵同士になるというのが理解出来ないし、ムギナミはヴィラジュリオが
来たからには、まどか達とずっと一緒に居られるとは思っていない。二人の考えは平行線になってしまう。

この関係をどう修正するのかというところでしたが、ヴィラジュリオの言葉は、ムギナミをまどか達と一緒の日常に放り込んで
やろうという一種の優しさと見ていいのかなぁ。ヴィラジュリオとムギナミの関係が全然わかってないので、ちょっと分かり辛い
ですが、ムギナミとキッスとの関係を断ち切ってやるために、あえて悪者に徹しているように思えなくもないです。

一応最後にムギナミに視線を送るところとか、まどかの姿を妹のユリカノに重ね合わせてるところを見ると、何か思うところが
あっての行動なのかなと。

とりあえず、キッスの登場でデ・メトリオ、レ・ガリテ、キッス、そしてまどかと関係が余計複雑に見えて来ましたが、実際には
「ウォクスをどうしたいか」 というシンプルな構図だと思うので、やはり全ての勢力の中心に居るまどかの行動で、話が動いて
いくんだと思います。蚊帳の外に居る主人公は魅力が無いですし、それでこそ主人公という感じで良いと思います。

まるっ。

―― 第五話 「鴨川に来た男」 （了）

---

「輪廻のラグランジェ」 の画像の著作権は全て著作権者に帰属します ： © ラグランジェ・プロジェクト

---

【関連記事】 輪廻のラグランジェ 第四話 「鴨川スイマーズ」
【関連記事】 輪廻のラグランジェ 第六話 「風と火と水と鴨川と」

---