「Angel Beats!」 第13話、最終回です。正直言って分かり辛いです。
視聴者に想像の余地を残してるんだとしても、ある程度の情報提供は必要だと思いますけどね…。
カナデ 『今のあたしの胸では、あなたの心臓が鼓動を打っている』
カナデ 『ただ一つのあたしの不幸は、あたしに青春をくれた恩人に 「ありがとう」 を言えなかったこと』
カナデ 『それを言いたくて、それだけが心残りで、この世界に迷いこんだの』
最終回に来て 「Angel Beats!」 というタイトルの由来が明かされました。そして 「Beat(音)の無い」 主人公、音無と、
「(音を)奏でる」 天使、かなでという駄洒落のようなネーミングも…おそらくここから来てるんでしょう。
「死後の世界」 に時間の概念が無いとするならば、音無より先にかなでがこの世界に居ても不思議では無いんですが、
そうすると 「愛」 を知ったプログラマーが、自分をNPC化した理由として 「長すぎた時間」 を挙げたのは矛盾しそうです。
それよりも問題は…音無の心臓でしょうか。「死後の世界」 に居る音無に心臓が無いってことは、「現実世界」 における
死後の身体の欠損も 「死後の世界」 に引き継がなければならない――という制約が発生する必要が出て来ます。
そうすると 「音無が死んで心臓を移植した後、かつ火葬される前」 という限定的な状態でこの世界に来ないといけません。
移植前なら心臓は残ってますし、火葬されちゃえば身体全体が無くなっちゃいますからね…。
カナデ 『あなたが信じてきたことを、私にも信じさせて。生きることは素晴らしいんだって』
これについてはちょっと勘違いしてたかもしれません。この物語でテーマとして扱われている 「人生賛歌」 ってのは、
『たとえ理不尽な人生だったとしても、あなたの人生には辛い事だけでは無く、楽しい事だってあったんですよ』
ということを伝える意味合いがあるのだと勝手に思っていましたが、どうもこの物語で言われてるのは、
『理不尽のあった前の人生は死後の世界で報われるから、つまらない過去は忘れてまた新しい人生へ踏み出そうよ』
とでも言ってるようにしか思えないというか。まぁ 「輪廻転生」 を前提にしないと使えない 「人生賛歌」 のような気がします。
この辺は公式に説明が無いので、自分なんかがこれ以上あれこれ妄想したところであまり意味も無いんでしょうけど。
とりあえず最後まで視聴して思ったのは、これが音無とかなでの物語なのだとしたら、ゆりを筆頭にSSSを絡ませたことで、
変な矛盾や意味の無い設定が発生して混乱させているような気がします。これなら音無とかなでの二人を中心とした
ショートストーリーにでもして、音無の最後の行動をもう少しマシにしたら、もっと素直に感動出来たかもしれないです。
さすがにあの状況で転生しちゃったら、「この世界に残って、これからここに来る連中の手助けをしたい」 と言う気持ちが、
かなでと一緒に居たいがための単なる口実だってことを自ら証明しちゃう結果になりかねませんからねぇ…。
仮にも主人公なんだし、かなでが居なくなっても一人でそれをやり遂げるくらいの覚悟を見せて欲しかった気がします。
内容的には、回収されない伏線や、破綻した世界設定がある場合に、それを許容出来ないとこれは合わないんじゃないか
と思います。もしかしたら脚本家の頭の中では綺麗に繋がってる話なのかもしれませんが、それが映像化されてない以上
視聴者にとっては想像の域を出ることなく、整合性の取れない物語としか受け取れないと思いますので。
それに 「理不尽な死を迎えた」 とか 「神に抗う」 とか重いテーマを背負ってる割に、登場人物が軽すぎるのもちょっと
問題がありました。これは脚本家がギャグを入れないと気が済まない性分のようなので仕方ないことなんでしょうけど、
物語として 「死」 や 「人生」 というテーマを軽んじてる結果に見えていることは否めません。
自分も色々と伏線に思いをめぐらせること自体は好きなので、視聴中は一応楽しんで見ていましたが、最終的な評価
としては正直それほど高くはないです。意外性があってもそれに筋が通ってなければ 「違う」 と思ってしまう性質なので。
でも結局これも自分の主観でしかないで、やはり捉え方は人それぞれだろうって所に落ち着きそうです。
―― EPISODE.13 「Graduation」 (了)
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