「デート・ア・ライブ DATE A LIVE」 原作:橘公司 |
第9話 「狂乱の悪夢」。脚本:田中仁、絵コンテ・演出:鈴木薫、作画監督:長田好弘/新野量太、作画監督協力:古川英樹
「富士見書房40周年記念アニメ」 と銘打たれた、「デート・ア・ライブ」。原作は未読です。
前回、狂三に襲われた士道のピンチに颯爽と現れたのは、夜刀神十香でもなく、鳶一折紙でもなく、“妹” の崇宮真那でした。
そして、精霊の狂三さえ圧倒する力を見せた真那は、躊躇することもなく狂三に止めを刺してしまいます。
『 “それ” は、全ての者に与えられているが、買うことは出来ない』
『人は往々にして “それ” を ―― 無駄にし、 “それ” を惜しみ、 “それ” に追われる。“それ” って……な〜んだ? 』
そして、ショッキングなアバンから一転、いきなりなぞなぞが始まりやがりました。まぁ、答えは 「“それ” = “時間”」 でしょう。
士道は、たとえそれが自分を殺そうとした相手だったとしても、真那が狂三を殺そうとするのを止めようとしました。
それは、自分の “妹” だと名乗る少女に、人殺しをさせたくないという気持ちもあったでしょうし、さっきまでデートしていた相手
(狂三) が、目の前で殺されることに耐えられなかったというのもあるんでしょう。これは、人間として正しい反応だと思います。
逆に、たとえ狂三が1万人の人間を殺している “精霊” で、今まで何度殺しても死ななかった相手だとしても、人の形をした
存在を平然と殺せてしまう真那の感覚を理解するのは非常に難しいです。ただそれは、真那が何度も 「狂三を殺す」 という
行為を繰り返して来たせいで、士道が言うように 『心が磨り減ってしまった』 結果なのかな、と。
真那に関しては、やはり6話で言っていたように 「DEM社 (Deus ex machina) 」 からASTに出向して来た、という事のようです。
但し、 「デウス・エクス・マキナ (機械仕掛けの神)」 という言葉通りに、真那の肉体が機械化されていたりするわけではなく、
“魔力処理” が施されているとのことで、それが “魔術師” と呼ばれていた理由でもあるんでしょう。
そして、その “魔力処理” のせいで、真那があと10年も生きられない体だという、いきなり重い展開になって来ました。
しかし、真那はDEM社が 『記憶を失くした私に存在理由を与えてくれやがりました』 と言ってましたけど、要するに身寄りが
無いのを利用されて、知らず知らずの内に人体実験に協力させられていたとか、そんな感じではないんでしょうか。
それに、琴里が言うような悪徳企業なら、そもそも真那の記憶を消したのがDEM社だったという可能性もありそうだし。
狂三は 「空間震」 に関係なく、1万人以上の人間を殺してきたと言われてましたが、その理由は狂三の天使 “ザフキエル” が
食らう膨大な “時間” を、人間から補充するためだったようです。“時間” は狂三にとっての “寿命” とも言えるようで、今回は
学校全体を 「時食みの城」 という広域結界で覆って、その中に居る人間から無差別に “時間” を食らっていたようです。
ただ、狂三もザフキエルさえ使わなければ “時間” を補充する必要も無い筈ですし、以前は人を襲うようなことはしてなかった
のかもしれません。しかし、精霊を処理しようとする人間に命を狙われ続け、『傍に手を差し延べてくれる者』 が居なかった事で、
世界を否定してしまったのが、今の狂三なのかもしれない、と。
だからこそ十香は、『狂三は十香や四糸乃たちと違いすぎる』 という士道に対して、 『狂三は変わらない、私と』 という言葉を
かけたんでしょう。今の狂三の姿が、かつて人間達に不信感を抱いていた自分の姿と重なって見えたから。
そんな十香の言葉で勇気を取り戻し、やり直せる可能性を否定する狂三に、『お前がどんなに間違っていようが、俺がお前を
救っちゃいけない理由にはならない』 と言える士道は、個人的にカッコいいと思いますし、嫌いじゃねーです。
狂三の天使 “ザフキエル” は、背後に顕現した 「時計」 だと思いますけど、インデックスから銃に霊力を装填 (?) する
戦い方と演出が格好良かったですし、このシーンで流れてた音楽も良かったです。
狂三が使っていた能力のうち、「W (dalet)」 は時間逆行で、 「Z (Zayin)」 は時間停止みたいでしたが、「T(Aleph)」 は
空間転移でしょうか。「時間」 と共に 「空間」 も操れるってことなのかな。
真那が何度殺しても狂三を殺しきれなかった理由は、狂三が過去 (履歴) の自分を同時に存在させることが出来るからって
ことのようで、つまり殺されたのは 「本物」 ではあるけれど別の時間軸の狂三だったってことですか。
ただ、最後に登場した狂三が 『私だけは殺させて差し上げる訳には参りませんわね』 と言ってたので、あれが殺されると
二度と復活出来ないっぽいのかな、と。
士道の 「回復能力」 は、以前 “精霊の力” と言われてたので、士道自身が精霊の力を宿しているのかと思ってましたが、
令音が 『十香や四糸乃の霊力をその身に封印している君は、精霊の加護を受けているに等しい』 と言ってるので、士道は
精霊の霊力を封印する “器” でしかないようですね。
そして、十香とのデートで折紙に撃たれた時、回復に使われた “霊力” の元の持ち主が、今回突然現れた炎の精霊であり、
士道の “義妹” でもある五河琴里だった、と言うことのようです。それなら琴里が士道の回復能力を知ってたのも当然ですし
(元々自分の力ですし)、士道が霊力を封印出来ることも、その方法 (デレさせてキスする) を知ってたのも当たり前ですね。
士道が最初に封印した精霊は、琴里なんでしょうから。つまり、琴里はかつて士道に 「デレた」 上で、キスしたことがある
ということにもなるんでしょう。
しかし、“精霊” の琴里がどうしてラタトスクの司令になって、士道に他の精霊の力を封印させてるのかはわかりませんが、
琴里の姿を見た時の折紙の反応を見ると、折紙の両親を殺した “精霊” というのが琴里だったっぽいので、その辺りが何か
関係してたりするんでしょうか。
―― 第九話 「狂乱の悪夢」 (了)
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