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全てのルートをクリアしました。
アドベンチャーというジャンルに限らず、近年プレイした全てのゲームの中でも一番面白かったと感じてます。
…と言ってもゲーム自体をそれ程多くプレイしているわけではないので、比較対象はあまり多くありません。
※ネタバレ全開です。ご注意ください
システム SYSTEM
選択肢を一切使わないフォーントリガーシステム。
既存のアドベンチャーのように、フラグを立てる為の選択を何度も繰り返してルート分岐していくシステムに、
あまり有効性を感じていなかったので、選択肢が無い事自体は特に問題なかったです。逆に選択肢を排除した事で、
ゲームの操作中に自然な形で分岐点を作れている意味では、よく出来たシステムだとも思います。
そして、世界を左右する程の重要な選択が、携帯のボタン一つにかかってくるというのは、
方法の単純さに反した緊張感があって面白かったです。久しぶりに 「選択」 する事に重みを感じるゲームでした。
ただ、操作する機会はそれ程多くないので、「ゲームは自分で操作してる実感が欲しい」 というようなプレイヤーには
向かないシステムだとも思います。
世界観 WORLD
近未来…と言うか、ほぼ現代の実在する場所<秋葉原>が舞台。
実際何度も見たことがある風景なので、そういう意味では擬似的なリアリティを感じます。
【関連記事】 Steins;Gate ロケ地 【 秋葉原 】
タイムマシンやタイムリープに関する理論的な内容は、自分にはさっぱり造詣が無い分野なので突っ込みようが
ありませんが、「ジョン・タイター」 や 「SERN(CERN)のLHC」、「リフター」 などの要素が虚実とりまぜて描かれており、
単純に 「それっぽい」 理論だなぁと感心して読んでました。
また、実際のネット上(主に2ちゃんねる)で使われるスラングが出てきますが、正直なところネットスラングは
時事ネタと同様に、旬の時期を過ぎると失笑しか得られない気がするので、多用するのはどうかなぁと思ってました。
ただ 「2010年の秋葉原」 という限定的な世界設定で使用されるなら、それも有りかなと思うようにはなりました。
数年後に見たとしても、この時期はこんな言葉が使われてたんだ、と振り返れるだろうという意味で。
作中で使われる物理学用語、科学用語を含めた意味がわからない言葉に関しては、TIPSで補完出来るので
問題は無かったです。TIPSを読んで意味が理解出来るかどうかについては、また別問題だと思ってます。
キャラクターデザイン CHARACTER DESIGN
キャラクターデザインはhukeさん。世事に疎いのでこのゲームで初めて名前を知りました。
いかにも 「ギャルゲ」 的なデザインでもなく、独特な絵柄で非常に魅力的なデザインだと思います。
特に目の描き方と色づかいが印象的です。
ただ、ゲーム内の原画は別の方が描かれてるようなので、CGによって若干印象の違いを感じるような部分はありました。
音楽 MUSIC
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印象に残る曲は多いですが、特に琴線に触れたのが、EDに使用されたPHANTASMの 「運命のファルファッラ」 です。
「ファルファッラ(farfalla)」 はイタリア語で 「蝶」 を意味する言葉。バタフライエフェクト ―― 蝶の羽ばたき一つが運命を
大きく変えてしまうという、このゲームのEDとしてぴったりのタイトルだと思います。
歌っている 「PHANTASM」 は、科学アドベンチャーシリーズ第一弾の 「CHAOS;HEAD」 に登場する架空のバンド。
自分は 「CHAOS;HEAD」 をプレイしていないのでこのゲームで初めて知りましたが、この曲でかなり気に入ったので、
1stアルバムの 「End Prophecy」 も手に入れました。こちらも雰囲気が出てて格好いい曲ばかりです。
ボーカルはFESこと榊原ゆいさん。エロゲやギャルゲの曲を歌ってるのは知ってましたがほとんど聞いた事がなく、
この曲を聞くまで失礼ながらこんなに歌唱力の高い人だとは思ってませんでした。
ストーリー STORY
【 第1章〜第5章 】
ある日―― 岡部倫太郎が牧瀬紅莉栖の殺害現場を目撃した直後から、運命の歯車は徐々に狂い始めていた。
岡部の記憶には齟齬が生まれ、死んだ筈の紅莉栖は平然と生き返り、ダルに送信したメールは過去へと跳ばされていた。
5章中盤までは、その後に訪れる悲劇への壮大なプロローグと言った感じでした。ラボメンとなるキャラクターを一人ずつ
掘り下げながら、Dメールによる過去改変を繰り返して世界線の構造を複雑にしています。
比較的平穏な日常を描きつつ、SERNへのハッキングで衝撃の事実を掴んだり、謎の脅迫メールが送られて来たりと
緊張感も持続させていたと思います。
そういえば、あの脅迫メールの差出人は結局誰だったんでしょうか。
【 第6章 】
岡部達は旺盛な好奇心と数々の偶然の重なりによって、「記憶」 を過去へと跳ばす 「タイムリープマシン」 を完成させた。
しかし、岡部が安易に過去を改変した代償として、因果は守るべき人を失う 「結果」 へと収束してしまうことになる。
6章はひたすら続くまゆりの死が、精神的にかなりキツかったです。「ゲルまゆ」 はさすがにショックを受けましたし、
綯の虚ろな目も怖かったです。さらに鈴羽の遺書で追い討ちをかけられ、ゲーム中一番の鬱展開が続きました。
このルートではまゆりの死を回避する為に、鈴羽の2010年での思い出を犠牲にして、1975年にタイムトラベルさせて
しまいます。当然鈴羽は父親が誰かを知らずに旅立ってしまうので、「橋田鈴」 と名乗ったのは偶然だったんでしょうか。
そして6章から派生する鈴羽ルート。まゆりと鈴羽を死なせない為に、同じ二日間を延々とループし続けた事で、
徐々にオカリンの心が壊れてしまうという、こちらもかなりの鬱展開。
このルートは、鈴羽と一緒に過去へ跳ぶ事に 「希望」 が有ると見るか否かで、だいぶ受ける印象が違って来そうです。
自分には残念ながら、二人に死亡フラグが立っているように見えてしまいました。
【 第7章〜第9章 】
「アトラクタフィールド理論」 により、どんなに 「過程」 を変えてもまゆりの死へと収束する 「結果」 は変えられない。
そこで岡部は、今まで改変して来た 「過去」 を全てリセットして、まゆりの未来を手に入れる 「未来」 を選択する。
たとえそれが、過去改変にかけてきた全ての人の 「思い」 を犠牲にする結果になるとしても…。
7章はフェイリスパパとまゆりの二択。
たとえ本来の世界線では死んでしまう運命にある人物だとしても、「今」 生きている人の死を受け入れるのは、何よりも
辛い選択になります。それは、オカリン自身が原点である世界線への回帰の前に、身を持って知ることになるのですが。
そして7章から派生するフェイリスルート。ラボメン全員の生死こそ判明していませんが、一見誰も死んでいないように
見えると言う意味では貴重なエンディングでした。その分の代償 (まゆりやダルとの繋がりが消える) は支払ってますが、
フェイリスと恋人にもなって、個別ルートでは唯一ハッピーエンドに近いルートだと感じられました。
8章はルカ子の性別とまゆりの二択。ルカ子の気持ちを考えると辛い選択でしょうが、他のルートに比べれば
命を天秤にかける訳では無いので、まゆりの命の方に大きく天秤が傾きそうな気がします。
それだけに、まゆりを助けないルカ子ルートはかなり重い十字架を背負う事になりそうです。全エンディング中、まゆりの
死亡が確定する唯一のルートであり、オカリンがまゆりを救う事を諦めてしまう唯一のルートとなってしまうので…。
エピローグの写真で見せるまゆりの最期の笑顔がとても悲しくもあり、ほんの少しだけ救われた気持ちにもなれました。
オカリンとルカ子の子供の名前は、女の子ならやはり 「まゆり」 と名付けられるのでしょうか。
9章は萌郁のDメールによる過去改変のリセット。萌郁エンドこそ有りませんが、一応萌郁がメインとなるルートです。
萌郁エンドを必要と思うかどうかは、萌郁を 「赦せる」 か 「赦せない」 かで変わりそうな気がします。
自分は、ここまでのまゆりへの仕打ちに対して、萌郁を赦せる気がしなかったので、最初は萌郁エンドは必要ないと
思ってました。しかしトゥルーエンドで萌郁にラボメンピンバッジを渡した時に、ようやく萌郁を赦せる気持ちになりました。
今では萌郁ルートが有っても良かったんじゃないかとは思っていますが、まゆりの事もあるのでここからオカリンと萌郁が
恋人になるという展開はちょっと考えにくいですね。
そしてこのルートでは復讐鬼と化した綯がひたすら怖かったです。
【 第10章 】
過去改変に込められた、全ての人々の思いを踏みにじって来た結果、ようやくβ世界線の目前までたどり着いた岡部。
しかし自らが望んだ世界線の先に、紅莉栖の死が待ち受けている事を理解した瞬間、二人の少女の命運を自分が握って
いる事実に耐え切れず、岡部はそこから一歩も進む事が出来なくなってしまう。
究極の二択、まゆりか紅莉栖か…。とは言っても、どちらのルートを選んでも紅莉栖が救われる未来は有りません。
紅莉栖の潔さにオカリンが救われると共に、紅莉栖を見殺しにする事実を受け止めて
十字架を背負い続けて行かなければならないルート。オカリンの勝利宣言を聞いた時は胸が熱くなりました。
倫太郎 『訪れるのは俺が望んだ世界なり!』
倫太郎 『すべては運命石の扉の選択である!』
倫太郎 『世界は再構成される――!』
紅莉栖への感情を別にすれば、α世界線は最初のDメールでの過去改変によって発生した世界線であり、
β世界線への回帰が正常な姿という気はします。
だからこそ過去を変える事に否定的だった紅莉栖は、過去改変によって自分が生かされているα世界線に
留まる事を潔しとせず、β世界線への回帰を望んだのではないかとも考えています。
【 最終章 】
まゆりの 「生」 を選び、紅莉栖の 「死」 を選び、掴み取った筈の平穏な日常は続かない。
世界線を越えてなお未来からやって来た鈴羽からの依頼。そして明かされる牧瀬紅莉栖殺害事件の真相。
すべては、運命石の扉<シュタインズ・ゲート>の選択なのか――
紅莉栖の父親がドクター中鉢だというのは、消去法でコイツしか残ってない時点である程度予想出来ましたが、
紅莉栖が殺された事件の真相を知った時は、さすがにショックを受けました。
しかし、それすらも紅莉栖を確実に助ける為に必要な通過儀礼だったとして、未来のオカリンから最終ミッション――
『未来を司る女神』 作戦 (オペレーションスクルド) が発令される展開は最高に燃えました。
オカリンが自分の血で血溜まりを作る為に刺された時は、紅莉栖の代わりにオカリンが死ぬ展開になるのかとヒヤヒヤ
しましたが、さすがにトゥルーエンドでそれは無かったですね。中鉢を殺す事もなく、まさに大団円だったと思います。
そしてグランドエンディング曲の 「Another Heaven」 が流れ、エピローグで一人一人にラボメンピンバッジを手渡していく
展開に高揚感が納まらず、紅莉栖との再会シーンは大感動のグランドフィナーレとなりました。
倫太郎 『これが運命石の扉の選択だよ』
キャラクター CHARACTER
登場するキャラクターも非常に魅力的でした。最初は幼馴染みであり、ラボ設立当初からのメンバーであるまゆりが
メインヒロインだと思ってました。しかし最後までプレイして、メインヒロインが紅莉栖だった事に納得しました。
好きなキャラを一人挙げるなら、まゆりです。このタイプのキャラは、嫌いな人はとことん嫌いそうですが、
自分は純粋に可愛いと思いました。口調や口癖も可愛くて、そこは花澤香菜さんの演技も上手かったと思います。
見た目で好きなのはルカ子ですが…自分には 「男の娘」 属性は全く無いです。
でも巫女属性は有るので、Dメールで女の子になった時はかなり複雑な気持ちになりました(笑)。
紅莉栖はとにかくどのルートでもオカリンを励ましてくれて、10章では当事者でありながら最後の決断が出来ない
オカリンの背中を押してくれる。そんな芯の強さに憧れます。アイマスをプレイしてた影響で、中の人の印象が強いです。
鈴羽のようなサバサバしたキャラは好きですし、田村ゆかりさんの声も好きです。最初はミスターブラウンの娘かとも思い
ましたが、綯が居るからそれは無いかと思ってたら、ダルの娘だと分かってさすがに 「その発想は無かった」 と思いました。
フェイリスは 「ネコ耳メイド」 という濃い目のキャラの割に、意外と印象が薄いです。ラボメンとしても、まゆりの友達としても
それ程目立つ役目が無いからでしょうか。桃井はるこさんは、この手のキャラを演じるとぴったりですね。
萌郁はメール魔としてもラウンダーとしても、あまり良い印象が無かったです。綯は6章と9章の影響で怖い印象だけが
残ってます。そしてダルはとにかく笑えました。特に10章のツンデレ台詞は紅莉栖と共に 「これはひどい」 と思いました。
ダル 『べ、別に、あんたのためにクラッキングするんじゃないんだからね!』
オカリンの厨二病的な言動に関しては、最初は付いていけるか不安な部分もありましたが、オカリン役の宮野真守さんの
熱演もあって、普通に楽しめました。さらに鳳凰院凶真を降臨させた理由が、まゆりを守るためだったという経緯が分かり、
いい話だなぁと感動するに至りました。
あとがき Editor's note
我ながら文章をまとめる能力が無さすぎです。
とりあえず 「Steins;Gate」 をクリアして、思いついたことを色々書いてみました。
とにかくクリア後も余韻が続いていて、正直まだまだ書きたい事はたくさんありますが、この辺にしておきます。
最近(特に国内では)かなり勢いを失っているXBOX360ですが、定期的にこんな名作が登場してくれると、
持ってて良かったと思えるんですけどねぇ…。
一周目のプレイでは早く続きが知りたくて駆け足で進めた部分が有るので、これから二周目に入ってゆっくりと
ストーリーを楽しみたいと思います。
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