ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第六話 「彼方ノ休日・髪結イ」
アニメノチカラプロジェクトのオリジナルアニメ「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」 の第6話、「彼方ノ休日・髪結イ」です。
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今回は、カナタが初任給で家族にプレゼントを贈ろうというお話ですが、本来軍隊では給料の遅配は当たり前で、普通は軍票での支給となっているようです。軍票というのは、軍隊が通貨の代用として使用する手形のようなものであり、物資徴発相手の反感を抑える為に作られた物とのことらしいですね。
ちなみに、給料袋に書いてある文字 「salaire」 は、そのまま 「給料」 という意味です 。カナタの給料は、車の弁償にとナオミに支払おうとした150円だと思いますが、今の相場で10万円くらいと考えた場合、イルカの置物の10円25銭は7000円弱ってところでしょうか。なるほど、新兵には結構悩む金額かもです。
時告砦の小隊は、代々酒の密造を副業とすることで給料を遅配させることなく、現金での支給を可能としていたとのことで、その副業として作っていた品が 「カルヴァドス」 (リンゴから作った蒸留酒)。4話ではナオミに 「軍隊らしくない」 と言われていた代物であり、5話でクラウスに 「土産」 と称して渡していた物ですね。
これがバレると、最悪の場合国家反逆罪に問われるという事なので、クラウスへのあれは密造を黙っていてもらうための口止め料ってところでしょうか。カナタに教えないのは気づかないなら巻き込む必要は無いという判断からなんでしょう。
カルヴァドスの取引現場では、小隊メンバーが全員黒服で決めてマフィアのメンバーらしき相手と商談をしてましたが、なぜか全員汗だくで妙な雰囲気だと思ったら単なる茶番でしたか。ただ、Aパートが終わった段階ではちょっと説明不足で分かりにくかったなぁと思ってたら、Bパートで同じ一日を別の視点から追うという仕掛けになっていました。
この世界の教会は、信仰体系が神道っぽいし、ユミナも巫女っぽい服を着てるので、司祭も神主みたいな人が出てくるのを想像していたら、カトリックの司教みたいな姿でした(頭にカロッタをかぶってるし)。その司祭が、初宮参りに来た子供の名前をイデア文字で書いて両親に渡していましたが、父親がそれを 「花押 (かおう)」 と呼んでいます。
花押とは署名の代わりに使用される記号・符号の事なので、司祭が 「印に刻む」 と言ってるのは、花押を印章にした「花押印」 の事になるんでしょう。おそらくカナタが1話で持っていたハンコも 「花押印」 ということになるんだと思いますが、カナタ自身は単に自分の名前の意味を持つ「記号」として花押印を使ったり、「彼方」と書いたりしてるだけなので、イデア文字を読んだりは出来ないということなんでしょうね。
家族を失って教会に引き取られたというミシオの父親は、出征したまま帰らぬ人となり、母親は東の国境にあるという故郷のビネンラントで、 「見えない死神」 とやらに襲われたとか。ミシオと母親がセーズに来た時には、既に 「発症」 していたと言っているので、 「死神」 とは何らかのウイルスや、細菌による感染症なのかなと。
『誰かの生み出した偶然が、めぐりめぐって他人の人生を大きく変える事はあるのかも知れない』
時告砦で密造されていたのが、リオの母親が好きだったカルヴァドスだからこそ、リオが反対せずに今でも密造が続けられていて、市場でミシオの母親の形見の箱を買ったのが、取引を嗅ぎつけた中央のマフィアだったからこそ、茶番の行なわれている取引現場に箱を持って来ていて、カナタとミシオがマフィアの車を潰したことで、偶然そこに居合わせたナオミが「戦利品」として箱を引き取った。
こうして、めぐりめぐってミシオが母親の形見の箱を見つけることが出来たのは、「誰かの生み出した偶然」 かもしれないと。
今回は、前半と後半で同じ一日を視点を変えて見せることで、伏線張りと回収が行なわれるという手法が面白かったですし、ユミナとミシオの絆が強くなるストーリーも良かったと思います。物語はちょうど折り返しに入ったところですが、この世界の謎も徐々に明かされて行きそうですし、これから少しずつ話が動いて行くことになりそうですね。
―― ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第六話 「彼方ノ休日・髪結イ」 (了)
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