ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第七話 「蝉時雨・精霊流シ」



アニメノチカラプロジェクトのオリジナルアニメ「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」 の第7話、「蝉時雨・精霊流シ」です。



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今回は、現在休戦中の戦争が実際に行なわれていた頃の回想から始まります。


回想に登場するのは、当時装填手だったフィリシアとその戦友たち。黒髪ポニーテールのユキコ隊長、色黒の坊主頭で砲手のオリガ少尉、赤髪の泣きぼくろが通信手のアンナさん、操縦手はベリーショートのマルチナ。フィリシア含めみんな巨乳です。


彼女達は「ビネンラント戦線」に投入されていたようですが、「ビネンラント」と言えば前回ミシオの母親の話にも出て来た、“見えない死神” に襲われた町でした。ミシオの母親は「発症していた」と言われてましたし、ビネンラントが最前線だったことから考えると、“見えない死神”は敵が使用した生物兵器か何かでしょうか。


今回、フィリシアが過去を思い出していたのは、この日が 「フィーエスタ・デュ・リュミエール(Fiesta du lumière)」 だったから。あの世から戻ってきた故人を迎え、再び送り出す伝統行事。直訳すると「光の祝祭」という感じになるのかな。


これは日本で言う「お盆」であり、故郷に日本的風習が色濃く残っていそうなカナタも、そう呼んでキュウリとナスで精霊馬を作っていました。ただ、ノエルによるとヘルベチア南部特有の行事のようなので、この行事を知らなかったクレハは少なくとも南部出身では無いということですね。



当時のことを思い出して、精神的に参っている様子のフィリシアを『そっとしておいてやってくれ』というリオでしたが、ノエルはその言葉を聞かずに、『ボクは、あそこを直接知ってる』と言ってフィリシアの所へ向かいました。この「直接知ってる」と言うのは、ノエルも「ビネンラント戦線」に居たという意味を含んでいそうですが…。四話で『機械は裏切らないから』とも言ってましたが、その辺りの話にも関係して来るのかなと。


しかし「多脚砲台」は、タケミカヅチの頃に失われた技術なのかと思ってましたが、フィリシアの回想を見ると現代でも戦車は履帯ではなく脚で移動するのが基本なんですね。ただ、フィリシアが地下で会った兵士(の亡骸)の回想に、稼動していた頃のタケミカヅチが出てましたが、あの動きと比べると現代の戦車はかなり性能的に劣っていそうです。


それと、兵士の回想でタケミカヅチが戦っていた相手は、姿は見えませんがビルの窓ガラスに大きな「羽」が映ってます。あれが“羽の生えた悪魔”なのだとすると、「炎の乙女」の言い伝えはお伽噺などではなく、多少の脚色があるとはいえほぼ実話だったということでしょう。そしてその戦いの舞台となったのが、今は「世界の果て」と呼ばれているノーマンズランドであり、セーズの谷底でカナタが見た化石こそが、討ち倒された“羽の生えた悪魔”の姿ということですか。



『聞いたことある?世界はゆっくり終わりに近づいて行って、私達人間はいずれ、完全に滅びるだろうって』


以前から、この世界では人口がかなり減少していることや、海洋生物が絶滅していることなどが示唆されてはいましたが、どうやら想像していた以上に危機的な状況に置かれているようです。二度と再生することは叶わないであろうこの世界で、滅びの運命を待つだけの人類が生き続けることに意味があるのか。兵士の投げかけた問いの答えをずっと見つけられずにいたフィリシアでしたが、ようやく一つの答えに辿り着きました。


『きっとね、この世界に意味なんかないのよ』


この世界に「意味」を与えられる存在が居るとしたら、それは世界をこんな状況にしてしまった張本人しか居ない筈です。しかし“羽の生えた悪魔”は既にこの世界から退場し、「意味」を与えられる存在は居なくなってしまっていました。それならばこの世界の意味は自分で見つけるしかない。そしてフィリシアは “私がここに居る意味”を見つけました。


『あの子達には、私みたいな思いは絶対にさせたくないわ』


この世界には「意味」なんか無い。けれどそれを自分達で見つけさせるために、今があるのかもしれない。



地下に落ちて、絶望の淵に立たされていたフィリシアを救ったのが、今まで何度も回想に登場したイリア「公女殿下」でした。公女ということはヘルベチア大公の娘なんでしょうけど、現在のヘルベチアは「共和国」なので、“大公” や “公女殿下”はたぶん居ない筈だと思います。だとすると、何らかの理由で休戦後に共和制になったと考えるのが妥当なのかなと。


そして、最後のシーンでリオが持っていた灯篭に二人分の名前が書かれていたことと、手を合わせて『母さま、姉さま』と言っているので、リオはイリアの妹かつ大公の娘であり、イリアはこの時点で既に故人である可能性が高そうです。司祭がリオを見て『あの方』と言ってますしね。ただ、以前の回想シーンを見る限りリオの母親は大公妃では無さそうなので、その場合イリアとは義姉妹にあたりそうです。


リオは、かつて『私の全てだった』と言うイリアのように、国を、人々を守りたいと思っていましたが、フィリシアと同じようにその「先」 を見失っていました。やがて滅びる国や人々を守ることに、意味があるのかと。でも、フィリシアの言葉に同意したということは、リオもやっと「この世界の意味」を見つけ出したのかもしれません。



四話ではノエルを『人殺し!』とまで呼んでいたセイヤですが、今回はそのノエル達と普通に笑い合っています。この変わりようは何か打ち解けるような出来事が有ったんだろうと思いますが、まだその辺りについては語られていません。そのノエルですが、一人だけ「精霊流シ」をしてないのが気になります。ノエルの家族や生い立ちについては、これまで全く話題にも上がっていませんし、ノエルにはまだまだ謎がありそうですね。


今回は大昔にあった「世界の終わりの始まり」、フィリシアの過去、イリアの素性やリオとの関係など、伏線が徐々に繋がって来ました。そして、今までのまったりした雰囲気から一変してのシリアス展開。やっと軍隊ものらしい話が出て来たかなと。


このまま一気にシリアス路線を進むのか、それとも再び日常話に戻るのか。予告を見る限り日常話のように見えますが、さて。



―― ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第七話 「蝉時雨・精霊流シ」 (了)



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