輪廻のラグランジェ 第十話 「さらば鴨川」



「輪廻のラグランジェ」 の第10話。
原作・制作協力:Production I.G、総監督:佐藤竜雄氏、監督:鈴木利正氏、シリーズ構成・脚本:菅 正太郎氏


「さらば鴨川」 シナリオ:森田繁氏、絵コンテ:吉川博明氏、演出:近藤一英氏




『ジャージが通れば、スカートが引っ込む』


ラフィンティ王女様のいきなりの高尚なジョークに、フリーズしかけましたが、ムギナミの微塵もジョークだと気づいてない
『ふぇ?』 という反応が可愛かったのと、照れるランに自然に腕を組む姿を見て、この二人もここまで仲良くなったのかぁ
と感慨深く思ったり思わなかったり。


オバケ屋敷では、貴重なランの叫び声と泣き顔も見られましたし(笑)、『おウチ帰る〜、兄様〜』 は可愛かったです。
そういえば、8話でウォクスの伝説を語った時も、夜怖くなってまどかと一緒に寝ると言い出しましたし、結構甘えたがりな
一面がありそうです。ムギナミあたりにそんなことを指摘されたら、ランは全力で否定しそうですけど。


そんな二人も、今やジャージ部の一員としてまどかの友人達からも認められ、名指しで助っ人を頼まれるようになってました。



しかしそれが嬉しくもあり、寂しさも感じ始めてしまうまどか。今までずっと独りでジャージ部をやって来て、そこに同じ志を持つ
仲間が二人も出来て、これからはいつも三人一緒に頑張れると思っていた時に、自分の知らない部分を持つ二人を見たことで、
二人が急に遠い存在のように感じられてしまったんでしょう。


そしてさらに、アウラでの出撃が禁じられているまどかに心配をかけまいと、ランとムギナミが黙って出撃したことが重なって、
二人に置いていかれたような気持ちになってしまった。そしてそれが、母親を亡くした時に経験した、『大切な物を失う恐怖』
を思い出させてしまったようです。


それでも、その恐怖を前にしても決して立ち止まることなく、すぐに駆け出して行けるところが、まどかのいい所だと思います。
悩んでいる間に出来なくなって後悔するくらいなら、やってから後悔すればいいんだと。



ヴィラジュリオと共に、ウォクスと戦うかどうかの選択を迫られる、デ・メトリオの三人組。この三人が地球に来た目的ってのも、
何となく曖昧にされてましたが、結局のところ 「ユリカノの願いを叶える」 というのが、一番の理由になるようですね。


『命はここにあるだけで奇跡だ。そのことをいついかなる時も決して忘れるな。そうすれば、お前達が道を踏み外すことはない』


ユリカノがどんな願いを託したのかはわかりませんが、ヴィラジュリオと一緒に戦場へ赴く決意をする、イゾ、アレイ、キリウス。
しかしそれは、ヴィラジュリオと共に戦うことを意味するのではなく、ユリカノの声に従って、命を守る選択なのかもしれません。


ヴィラジュリオがグラニアに 『不愉快な思いをさせる』 と言うからには、“作戦” というのは非人道的な内容とも考えられます。
そして、もし目の前でそんなことが行われようとするならば、三人は躊躇なくヴィラジュリオの敵に回るつもりなのではないかと。
それをユリカノの名前を挙げることで、ヴィラジュリオに宣言しているんでしょうね。



今回、珍しく外見相応の可愛らしさを見せたアステリア。“イール” は確かに見た目からは、美味そうな食材には見えませんが、
金髪碧眼のロリータが、丼をガツガツと掻っ込んでる姿はなかなか新鮮です。アステリアが言う 『体に悪そうな物ほど美味しい』
というのは、ある意味真理ですね。そして、体に良いとされる物ほど、あまり美味しそうには見えないという(笑)。


かと思えば、『何かを口にするということは、宇宙を体内に取り入れるということよ』 とか哲学的なことを言い出すし。
でもこれって、たぶん後で聞くとかなり重要な伏線になってる言葉だったりしそうですね。


今回は、それぞれの “覚悟” が描かれた回だったかなと思います。ヴィラジュリオは、自分の目的を遂行するために、犠牲を
払う覚悟、ダメトリオの三人は、真実を知るために、ユリカノを信じて進んでいく覚悟、ランとムギナミは、二人でまどかと鴨川を
守ってみせるという覚悟、そしてまどかは 「大切な物を失う恐怖」 に向き合い、乗り越えていく覚悟。


それぞれがそれぞれの覚悟を持って、いよいよクライマックスに突入する…という感じでしたが、番組内テロップで第二期の
放送発表とか、もっと大々的にやってくれてもいいと思うんですけど。



まるっ。



―― 第十話 「さらば鴨川」 (了)




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