「輪廻のラグランジェ」 の第7話。
原作・制作協力:Production I.G、総監督:佐藤竜雄氏、監督:鈴木利正氏、シリーズ構成・脚本:菅 正太郎氏
「曇り のち 鴨川」 シナリオ:野村祐一氏、絵コンテ:五十嵐紫樟氏、演出:五十嵐紫樟氏
今回は、ヴィラジュリオとムギナミの出会いの話から。
モイドの会話の中に、『ポリヘドロンを構成する星々の中に、彼女のスターレジスタが見つかりません』 という台詞がありました
が、“ポリヘドロン” は多面体という意味なので、複数の惑星によって多面体型に構成された惑星系、ってことなのかな。
それと “スターレジスタ” というのは、その星に住む人々の戸籍簿みたいなもんでしょうか。ムギナミの居た惑星ウゴーは、
その惑星系から外れた場所にある、流刑地ってことらしいですね。どうしてデ・メトリオの王子であるヴィラジュリオが流刑に
処されたのかはわかりませんが、ランの言葉ではレ・ガリテに追いやられたということのようです。
しかしムギナミとの出会いを見ると、ヴィラジュリオにとっては、仲間以上に命の恩人ですよねぇ…。それがなぜ、あんな言葉で
ムギナミを突き放すようなことをしたのか。そして、なぜウォクスごとムギナミを消し去ろうとするようなマネをしたのか。
そんなヴィラジュリオにどれだけ嫌われようと、最後まで守り続けようとしたムギナミの気持ちがわからないまどかでしたが、
まちこの言葉によって自分が忘れていた大切なことを思い出します。
『どこに置いて来ちまったのかなって思ってさ。ジャージ部魂』。
ムギナミはいつも 「お兄ちゃんを守りたい」 という思いで、行動していました。そしてそれは、今までまどかがジャージ部で
やって来たことと、何ら変わらないものでした。「困ってる人の助けになりたい」、「大切な人を守りたい」 という気持ち。
自分の思いを真っ直ぐに貫き通す ―― それこそ、まどかの持つ 「ジャージ部魂」 そのものだった筈なのに。
でも、間違いに気づいたらすぐ謝りに行けるところが、やっぱりまどかは性格のいい子だなぁと思います。
相変わらずポンコツなお姫様、ラフィンティはプールサイドを走るまどかを注意しながら、自分が転ぶという見事なボケを披露
してくれました(笑)。さらに、ウナギまみれになってたり、まどかとムギナミの前でいきなり素っ裸になったり、今回はエロ担当
としても、存在感を発揮してましたね。
それに、いつもまどかと仲良くなる役をムギナミに先を越されて、必死に追いかけていくところが可愛いな、と。
物心ついてから、苦しみ以外の感情を知らずにたった一人で生きてきて、ヴィラジュリオとの出会いからやっと笑うことが出来て、
そして地球に来てからは平凡で何も無い日常を謳歌して、今までで一番穏やかで楽しい日々を過ごしていたムギナミ。
それが、「お兄ちゃん」 のためを思ってウォクスとメモリアした筈が冷たく突き放され、ずっと自分のことを想ってくれたまどかを、
酷い言葉で傷つけてしまい、もうどこにも居場所を失くしてしまったと思っていたけれど、それでもまどかはムギナミの気持ちを
理解してくれた上に、黙って家を出て行こうとしたムギナミを、もう一度温かく迎え入れてくれました。
『家族になってくれて、ありがとう』 ―― と。
まどかのこの言葉は、とても心に染み入りました。同じ屋根の下で一緒に暮らして、一緒にごはんを食べて、一緒に眠って、
そして一緒にお風呂に入る。それは、“家族” なら当然のことだから。
叔父の浩と暮らしているとはいえ、両親の居ないまどかにとって、ムギナミの寂しい気持ちは、よくわかるんじゃないかと
思います。だから行くあてのないムギナミを、自然に “家族”として迎え入れることが出来たんでしょう。
上辺だけ取り繕って付き合う関係など高が知れていますし、お互いにこれだけ胸に抱え込んだものを吐き出してしまえば、
大抵のことでは揺らぐことのない信頼関係が築けると思いますし、“家族” としての絆も、より深まるのではないでしょうか。
今回は、やっとジャージ部三人の “椅子” が綺麗に並んでいるのが印象的でしたし、プールだったりウナギだったり
風呂だったりと、エロい方面にもかなり気合が入っていて、面白かったんじゃないかと思います。
そして最後は、全員パンを咥えながら登校して、『私たちの戦いはこれからだ』 的な終わり方が、お約束で良かったですね。
まるっ。
―― 第七話 「曇り のち 鴨川」 (了)
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