咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 第1話 「邂逅」 



ヤングガンガン連載中の本格美少女麻雀物語 「咲-Saki-」 のスピンオフ。原作:小林立先生、作画:五十嵐あぐり氏。
これは、原村和の思い出の一ページを紐解き、未来へと繋がる物語――


【 邂逅 】 ―― 思いがけなく出あうこと。偶然の出あい。めぐりあい。




舞台は桜舞う奈良県吉野郡 (たぶん)。インターハイでの激闘が続く今から4年前――、 原村和、小学6年生の春。


物語冒頭、木から飛び降りて躍動するのは、番外編で和が 『小学校の頃の友達』 と言っていたうちの一人、高鴨穏乃。
鳥居の前で穏乃を待つのは、同じく和が言ったもう一人の友達、憧。


どうやら和は、この時奈良に転校して来たばかりのようなので、奈良に居たのは小6と中1の2年間だけのようです。
穏乃と憧との付き合いがあったのは、その内の1年くらいということなので、時間にすると意外と短い付き合いなんだなぁと。
それ以前には東京に居たということなので、これはもしかして大星淡とも幼馴染フラグ発生の予感……は無いか。


和の転校は、どうやら検事だという母親の仕事の関係だったようです。ということは、母親も一緒に暮らしてるってことか…。
それとも、2〜3年で転属になると言ってるので、和が長野に来て3年目の今は、既に転属して単身赴任してるのかな。
だとしたら、以前父親が和に 『東京の進学校を蹴ってまで』 と言ってたので、母親は東京に居る可能性が高そうでしょうか。



そして、穏乃と憧は阿知賀女子の 「こども麻雀クラブ」 に通っていたということで、ここから4年後のインターハイで見せる
大躍進への序章が始まっていくわけですが、この辺りから本編の登場人物や伏線との繋がりを見せ始めます。


まず、穏乃たちが通っている 「こども麻雀クラブ」 で麻雀を教えていたのが、インハイで小鍛冶プロと対戦したことがある
と言われていた、 ”阿知賀のレジェンド” ―― 赤土晴絵。


つまり赤土晴絵と原村和にも繋がりがあり、さらに晴絵を実業団にスカウトしたのが、現在宮守女子で顧問をしている、
熊倉トシさんだったという繋がりも。トシさんは当時、福岡の実業団で監督をしていたとのことなので、永水女子の選手に
詳しいのは、同じ九州に居たからってのもあるんでしょうか。


晴絵が阿知賀の監督として戻ってきたのは、おそらく教え子達が麻雀部を復活させると聞いて飛んできたのではないかと
思いますが、トシさんが何故実業団の監督を辞めて(?)、岩手の宮守女子に行くことになったのかはまだわかりません。
ただこれは、本編がちょうどトシさんが岩手にやって来たところで終わってるので、そちらで描かれるのかもしれません。



そして、晴絵率いる阿知賀女子をインハイの準決勝で負かしたのが、小鍛冶健夜。今回のことですこやんがインハイで
優勝したのは、団体戦だということが分かりました。ただ、この強さなら個人戦にも出場していれば、優勝していそうな
気はしますが、果たして出ていたんでしょうか。


すこやんの当時の学年が書いてないので、年齢はまだ特定出来ませんが、むっきーが持っていたプロ雀士カードに
書かれていた ”Grandmaster” の意味は、たぶん史上最年少・史上初で獲得した (と思われる) 九冠の称号として、
”Grandmaster ―― 全ての勝者” が与えられたのかなと。


しかし白糸台が初登場した時に、『史上初の全国3連覇に向けて』 と言われていましたが、宮永照と同等かそれ以上の
力を持つと思われるすこやんが居ても、全国3連覇は出来なかったということですか…。チームメイトに恵まれなかったのか、
茨城の片田舎(たぶん)の高校で、インターハイ予選に出場出来るだけの部員数が揃わなかったのか。



阿知賀女子の面子は現在、玄、穏乃、憧の3人。残りはマフラーをしてる金髪と、右手に手袋をしたちんまいおかっぱの2人。
当時の 「こども麻雀クラブ」 に、穏乃たちの同年代は他に居なかった筈なので、この2人は和との面識は無いんでしょう。
学年的には、玄の同級生や3年生が今さら麻雀部に入部するとも思えないので、2人とも1年生の可能性が高いかな…?


たぶん阿知賀のエースは 『すべてのドラは玄に集まる』 の松実玄だと思いますが、ドラを持ってれば確かに破壊力は
上がりますけど、和了れなければ宝の持ち腐れとなってしまうので、その辺はどうなんでしょうね。


「阿知賀こども麻雀クラブ」 のナンバーワンとは言っても、4年生以上が3人しか居ない状況で、しかもひとりだけ中学生で
あれば、当然と言えなくもないですし、穏乃と憧のナンバーツー・スリーに関しても同様なので、実力的には未知数です。


穏乃たちの地元では、一番麻雀が強い阿太中で3年間過ごした憧は、かなり強くなっている可能性がありそうですが、
インターミドルをTVで観戦してたのを見ると、阿太中ではインターミドルに出場することが出来なかったようですね。



清澄と対戦するとしたら、怪物には怪物を――ということで、玄が大将かなぁ…。和の相手はたぶん穏乃がするとして、
先鋒は和の友人対決で憧とタコス、残りは次鋒・マフラー、中堅・おかっぱとかそんな感じでしょうか。でも、マフラーは
まこと対戦して、さっさと終わらせられちゃうのは勿体無さそうです…って、次鋒戦はさっさと終わるのが前程ですか(笑)。


そして宮守女子と同様 「今のところ」 メガネキャラが見当たりませんけど、こちらも試合前にかけるパターンとなるのか。


しかし、和がインターミドルの 「個人戦」 で優勝するのを見て、「団体戦」 でインターハイに出場すればまた和と遊べる…
という発想になるのが、ちょっとよく分からないんですけど、まぁその辺はあまり深く考えないということで。



原村和が転校せず、このまま麻雀部の無い阿知賀女子に居れば、当然タコスと出会うこともなく、咲も麻雀嫌いのままで、
部長の夢は夢のままでその終わりを告げていた可能性が高いです。


そして、和が転校先でインターミドル優勝をしなければ、『昔取った杵柄』 というように、おそらく麻雀から離れていた穏乃が
再び牌を握ることもなく、晩成に行く筈だった憧が阿知賀に戻ってくることもなく、松実玄という怪物が日の目を見ることも
無く、赤土晴絵は今でも実業団に居るかプロになっていたかもしれません。


「和の転校」 というたった一つの事象が、これだけの、そしてもっと多くの人々の運命を大きく変えてしまう ”始まり” と
なっている。そう考えるとこの 「阿知賀編」 は、咲-Saki- という物語全ての原点になっていると言えるのかなと思います。


さすがはこの 咲-Saki- という物語の主人公、原村和ですね……って、あれ?



―― 第1話 「邂逅」 (了)




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