様々なヒーローが様々な悪から人類を守る時代 ―― 。 【収録話】
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荻野純氏著の新世代ヒーローマンガ 「γ-ガンマ-」 第1巻。「ジャンプスクエア」 H25年4月号〜7月号掲載分を収録。
発売日は2013年7月4日。
著者の荻野純氏の作品は、「ジャンプSQ.19」 で 「カミガリガリ」 という読切を読んだことがあり、なかなか面白かったので
他の作品も読んでみたいと思っていました。著者にとってはこれが初連載・初単行本となるようです。
この漫画は、怪獣や怪人が登場し、それと戦うヒーローも現れますが、主人公の北鹿海鵬・北鹿酉里姉妹はヒーローではなく
(酉里は元ヒーローではありますが)「地球防衛軍」 に所属し、ヒーローの悩みを解決する 「ヒーロー相談課」 の職員です。
話の形式としては、1話ごとに違ったヒーローが登場し、北鹿姉妹がそのヒーローの 「悩み」を解決していくという流れ。
ヒーローは元は普通の人間だったらしく、ヒーローの力は本人の意思と無関係に手に入れたようで、第3話に登場するヒーロー
は偶然ある “リング” に触れたら勝手に腕から離れなくなり、それのせいで変な力が宿ってしまった ―― と告白しています。
だとすると、「ヒーローの力」 というのは何者かによって人為的に作られた可能性が高そうですが、それに関しては現在の所
言及されていません。しかし、ヒーローとしての力は長くて5年、短いと1年くらいで失われてしまうとのことです。
「ヒーローの悩み」 はどれも人間らしい悩みであり (元々人間なので当然ですが)、言葉を変えて例にすれば突然今までの
仕事を続けられなくなった人が、別の仕事に就くことに悩んでいたり、お人好し過ぎる性格で周囲にも迷惑をかけてしまった
人の悩みであったり、過去のトラウマから立ち直れずにいたり、新しい仲間の輪に入り込めずに人間関係に悩んでいたり。
そういった 「人間らしい」 悩みを抱えて戦うヒーローを、北鹿姉妹が支援して悩みを解決していくことになります。
解決方法は主に対話によるカウンセリングですが、北鹿姉妹がヒーローにかける言葉がなかなか深くて考えさせられます。
「普通の人間にもね、ヒーローと呼ばれる人がいるんだよ。ヒーローでいたいならそうなればいい」
「守るべきものを間違えちゃダメだよ。場合によっては敵を殺してでも人々を守るくらいの覚悟はしないと」
「地球とか街とか他人まで守らなくたっていいよ。大切なものを守る為だけに使う力でもいいんだよ」
「自分がみんなにまだ合わせられないなら、みんなに合わせてもらえばいい!合わせてもらえるほどの音を鳴らすの!」
姉の海鵬が重度のシスコンで、酉里を溺愛していたりと百合っぽい感じやソフトなお色気シーンもあったりしますが、
基本的にはヒーローの相談を受けるカウンセリングと、ヒーローものらしいアクションシーンで物語が進行しています。
ただ、かつて 「史上最強のヒーロー」 と呼ばれるほど強大な力を持っていた北鹿酉里が、「ヒーローの呪縛」 から逃れる
ことが出来ずに、今も人々を守り続けていたり、完全には失われていない酉里の力を狙っているらしい男が登場して来たり、
シリアス路線に進みそうな雰囲気も見せてますね。
―― γ-ガンマ- 第1巻 (了)
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