2012年夏の新作アニメ、「輪廻のラグランジェ Season2 」 の第1話。
原作・制作協力:Production I.G、総監督:佐藤竜雄氏、監督:鈴木利正氏、シリーズ構成・脚本:菅 正太郎氏
「おかえり、鴨川!」 シナリオ:森田繁氏、絵コンテ:樋口香里氏、演出:飯村正之氏
Season1のラストから少し時間が経っているようで、京乃まどかは高校3年生に進学し、再び夏を迎えた千葉県鴨川市。
同級生達が真剣に進路を決めていく中で、相変わらずジャージ部一筋を建前にして、卒業後の自分の姿を思い描けずに
いるまどか。しかしそれは、“同志” であるランやムギナミと突然の別れを経験したこととも、無関係ではないようです。
というところで、再び 「椅子」 が独りぼっちのところからのスタート。そしてオープニングは一期と同じ中島愛さんで、
新曲の 「マーブル」 に変わりました。曲のタイトルは、墨を流し込んだような模様としての 「マーブル」 なのか、
またはラテン語で 「輝く石」 という意味を持つ言葉らしいので、こっちの意味で本編と繋がってたりするんでしょうか。
曲としては一期の 「TRY UNITE」 は素直な感じでしたが、 「マーブル」 は少し変則的…かな。個人的に、曲の前半部分は
「TRY〜」 、サビの部分からは 「マーブル」 が好きかもしれません。『らーぐりーん、らーぐりーん』 と 『まるっ!』 が無いのは
少し寂しいですけどね。
本編の方では、レ・ガリテの本隊と合流したランが、ウォクス・リンファを使った 「ウォクス粒子制御実験」 に参加しています。
モイドの台詞から察するに、この実験で行われているのは、『ナーブカッターを意識レイヤーに接続』 … 意識下レベルでの
神経接続を遮断して、『心理プローブ起動、意識レイヤー第4層まで一気に開削』 … 探針でランの深層意識に干渉していく
……という感じになるでしょうか。
この実験で求められているものは、要するにまどかがやった 「輪廻を開く」 ことなんでしょうかね。パイロットの深層意識に
影響を与えることでウォクス粒子が増大し、 「ブレイク・ポイント」 に到達すると、輪廻の花が開く…といった感じなのかな、と。
ただ、“輪廻の花” が開くことによって起こるのは、伝説にあるような破滅だけでは無いってことなんでしょうか。それとも
破滅を起こすのは、ウォクスの力が暴走した結果であって、それを制御出来れば別の何かが得られるということなのか。
ランがディセルマインの目的を知って、実験に協力しているのかはわかりませんが、その辺はよくわからない状態です。
しかしこの実験でのランへの態度を見ると、ディセルマインというのはかなり冷酷な人間のようです。デ・メトリオの三人組や
キッスのヴィラジュリオ、ファロスの田所など、他の勢力に居るキャラクターたちは人間味のある連中が多いので、余計に
ディセルマインの非情さが際立ちますし、モイドも含めてレ・ガリテが一番悪役っぽい存在に感じられます。
ランがまどかに会いに来たのは、実験で思うような成果が出せず、ディセルマインにまどかをもう一度ウォクスに乗せるように
命令されたとか、そんなところに思えます。ただ、ランもアウラの暴走を見ているなら、ディセルマインがまどかに何をさせようと
してるかは見当がつきそうですし、まどかに “同志” と呼ばれた時は、一瞬悲しそうな顔も見せてましたので、本当はまどかを
巻き込みたくないけど、“同志” との友情を天秤にかけても、兄の命令が絶対ということでしょうか。
ムギナミ…というかデ・メトリオの方は、逆にまどかがレ・ガリテに協力させられるのを阻止するのが目的みたいですけど、
ムギナミが独断先行して地球に向かったのを見て、ヴィラジュリオが 『優しすぎる』 と言ったのは、どういう意味だったのかな。
そういえば、ヴィラジュリオがデ・メトリオで復権してたり、ムギナミが正規軍のパイロットになってたりと、知らない間に
ずいぶんと勢力図が変わっているようですが、この辺はOVAの 「鴨川デイズ」 で描かれてるんですかねぇ。でも、一期と
二期の間の出来事を描いてるなら、OVAの発売も二期の開始前にしないと意味が無いような気がしますけど。
よう子が向かったマダガスカルは、ウォクスがオーパーツとして発見された場所のひとつでしたが、“ラグランジェの化石” が
ここで見つかったということは、二万年前にウォクスの暴走が起きた場所が、ここってことなんでしょうか。もしそうだとすると、
二万年前に暴走した機体は鴨川にあったアウラではなくて、リンファかイグニスのどちらかになるのかな、とか。
デ・メトリオの三人組は、帰る船が無いので仕方ないにしても、随分と鴨川に馴染んでるようで。それをまどかに指摘されて
思わず苦笑いでしたが、ヴィラジュリオが復権したなら、デ・メトリオ軍に復隊してもおかしくないかと思いましたが、今は
アステリアが後見人なので、どちらかというとレ・ガリテと同盟を結んでる地球寄りという複雑な立場に居ることになるのか。
まどかも一応ファロスの一員ってことになってるだろうから、立場上はムギナミやデ・メトリオ軍は敵であり、レ・ガリテは
味方ってことになるんでしょうけど、まどかは 「組織」 で周りを見てるわけではなくて、「人」 に対して協力してる筈なので、
事はそう単純な話にはならないでしょうね。というか、そうなってしまったら、まどかじゃないですし。
そんな感じで、三ヶ月のブランクを挟んでSeason2が始まりました。
Season1の時は色々と謎も残ってましたし、物足りない部分もあったにせよ、個人的に凄く気に入っていた作品でもあって、
その理由の一番はやっぱり 「京乃まどか」 という主人公だと思います。まっすぐで、一生懸命で、友達思いで、良く言えば
ブレが無い、悪く言えば単純思考の、最近では珍しいくらいストレートな主人公です。まどかみたいなキャラは、好きですね。
それとまどか役の石原夏織さんは、この 「輪廻のラグランジェ」 で初めて知った声優さんでしたが、明るくて元気なまどかに
ぴったりで、かなり好きなタイプの声です。石原さんの声も、まどかというキャラが好きな理由のひとつに挙げられそうです。
あと、当たり前のことですけど、物語が必ず主人公を中心に動いてるのが良いです。まどかの行動や選択が物語を動かし、
状況を変えていく。メインキャラは三人居るけど、中心に居るのは必ずまどか。そして、まどかは決して周囲の状況に流される
ことなく、自分の道を貫き通す。この構図がしっかりしてるので、見ていて安心感があります。
これに、ランやムギナミなどのキャラクターがまどかをサポートして、ヴィラジュリオやディセルマインの策謀が絡んで、
アステリアの願いやユリカノの思いやウォクスの伝説など、数々の伏線によって紡がれる物語には、興味をそそられます。
ロボットアニメとしては、ウォクスのデザインは曲線的で面白いです。ただどちらかというと、ウォーリアタイプの時より、
ピアサータイプの方が好きで、ファロスから発進して直上する時に光の帯を引くのが、綺麗で格好いいなぁと思ってます。
そしてエンディングは 「ジャージ部魂!」。中島愛さんのスタイリッシュな曲から、えらい様変わりしましたね(笑)。
最初は、一期の作中でまどかが歌ってた 「ジャージ部の歌」 みたいなのを想像してたんですが、ちょっと違ってました。
歌はともかく、映像が一期とあまり変わりがなかったのが、ちょっと残念かな。
まるっ。
―― 第一話 「おかえり、鴨川!」 (了)
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