輪廻のラグランジェ 〜暁月のメモリア〜 第1巻 菅正太郎/吉岡公威



シナリオ:菅正太郎氏、漫画:吉岡公威氏による、ファンタスティック青春活劇。「輪廻のラグランジェ 〜暁月のメモリア〜」
の第1巻です。掲載誌は 「ヤングガンガン」。アニメ 「輪廻のラグランジェ」 のアナザーストーリーです。


【収録話】

第1話 : 「王女ユリカノ」第3話 : 「ユリカノの希望」第5話 : 「オービッド」
第2話 : 「アレイの抵抗」第4話 : 「行軍合宿」第6話 : 「覚悟」



これは、同時進行しているアニメの内容も補完した上での妄想です。


タイトルにもなっている 「ラグランジェ」 というのは花の名前のようなので、「輪廻のラグランジェ」 を直訳すると 「輪廻の花」 に
なるでしょうか。カバーにも 「THE FLOWER OF RIN-NE」 と書いてあるので、たぶんそのまんまになると思います。


ロゴにも花が描かれてますし、ロゴに書いてある 「Flower declaration of your heart」 という英文にも 「花」 という単語が
あるので、「花」 がかなり重要な意味を持っていそうなんですが、今のところどんな意味があるのか予想出来ません。


そして、このアナザーストーリーのタイトル 「暁月のメモリア」 の方は、アニメの中で 「メモリア」 というのがウォクスのパイロット
として認証されるという意味であることは判明してるので、1話でモイドが言った 『ここにあるものは既にメモリアされています』
という台詞は、パイロットの認証が済んでいるために、他の人間には動かせないという意味になるんでしょう。



「暁月」 の 「暁」 からは夜明け、始まりなどの意味が考えられますが、これに 「月」 と付いてる理由がわかりません。
「月」 というのがそのまま 「衛星」 を意味する月ならば、タイラの 『我らは既に暁月の内にある』 という台詞は、タイラと
モイドが居た場所が、「始まりの場所 (月)」 である…ということになるでしょうか。


ただ、「あか "とき"」 と読むように、「月」 が時間を意味するのなら、「始まりの時」 の中にある…と捉えられるのかなと。
そうすると 「暁月のメモリア」 は、「始まりの場所で (または時に) 行われたメモリア」 ―― というような意味だと考えられます。



タイラとモイドが居た場所に入れるのが、代々管理を任された貴族と王族であるとして、モイドがすぐに 「メモリア」 したのが
"貴族" ではなく "王族" だと考えたのは、この場所に入れるのは貴族と王族だけど、「メモリア」 が出来るのは王族だけって
ことになるからなのかなぁ。そうでなければ貴族の方を疑っても良さそうですし。…だとすると、まどかも王族の末裔とか?


でもそれだと、アニメでウォクス・リンファを操るランは、レ・ガリテの王族になるので、デ・メトリオの血族である必要はなさそう。
それともデ・メトリオの王族とレ・ガリテの王族は、元は一つの血族から別れたものだとか。ただ、もう一人のウォクス・イグニスの
パイロット、ムギナミは王族では無さそう(?)ですし、この辺は全然関係ないのかもしれません。


ここでタイラが言った王子 (ヴィラジュリオ) というのは、公式サイトで既に紹介されている宇宙義賊と同一人物なんでしょう。
そして 『残された王族といえば、奴の……』 という言葉の後に続くのは、3話でディセルマインが言った 『奴の妹』 でしょうから、
王子の妹にあたる王女・ユリカノのことになるんだと思います。つまり 「メモリア」 したのは、ユリカノだということでしょうね。



1話の扉絵で、ユリカノを中心に光の柱が上ってるのが見えますが、これはアニメの方でまどかが水中でウォクスとメモリアした
(と思われる) 光景でも、光の柱が上ってるので、たぶんあれがユリカノがメモリアしたシーンなんでしょう。そして、これこそが
タイトルにもなっている、「暁月のメモリア」 ―― そのものなのではないかと。


ユリカノがメモリアする時に 「花」 に向けて剣を突き立ててますが、これが恐らく 「ラグランジェ」 の花ってことでしょうか。
この花が、メモリアするのに必要なアイテムってことでは無さそうなんですが…。



そして、登場人物の方を見てみると、アニメでは今のところまどかの 「敵」 として認識されている、イゾ、キリウス、アレイの
3人が、メインキャラとして登場してます。この3人にサヌを加えた4人の問題児が同じクラスになったことと、そのクラスの
教育実習生として王女であるユリカノが着任したことは、恐らくユリカノの意図したところなんだろうと思います。


ユリカノたちの祖先は、2万年前に故郷である青い星を去らねばならなかった。この 「青い星」 とは地球でしょうけど、アニメで
キリウスが地球を見て 「一度死んだ星」 と言っていたので、地球を去った理由がその 「死んだ」 ということなのかなと。


現在、デ・メトリオとレ・ガリテは敵対関係にあるようですが、デ・メトリオの英雄である筈のタイラ大佐は、レ・ガリテのモイドと
通じているようです。ここでタイラが言った 『星を一つくれてやろうというのだ』 というのが、デ・メトリオを2万年前の地球のように
「死んだ星」 にすることと同義だとすると、ディセルマインたちによって輪廻が繰り返されようとしていると解釈出来そうです。



ただ、いかな理由があろうとも、それ (故郷) は決して放ってはならぬものだった。そして2万年前の地球に起きたことが、
今また繰り返されようとしていることを知ったユリカノが、その 「輪廻」 を断ち切り、イゾたちが道を踏み外さないよう導くために、
教育実習生としてアカデミーにやって来た…というのが、この物語の始まりでしょうか。


タイラたちがユリカノに 「実験」 とやらをやらせようとしていることが、どういう意図かはわかりませんが、アニメでモイドが
地球防衛軍 (ファロス) に取り入って、まどかにウォクスを使わせるように仕向けたのも、「実験」 ってことなのか。


最初はウォクスそのものを手に入れることが、目的なのかとも思いましたが、ウォクスがメモリアしたパイロット以外には
動かせないのだとすると、ウォクスだけを手に入れても意味が無い。そうするとパイロットと込みで、ウォクスを手に入れる
必要があるのでしょうけど、レ・ガリテの王女であるランがウォクス・リンファを使えるのに、まどかの力も欲してるということは、
ウォクスが1機だけでは意味が無いのかもしれません。



そもそも 「伝説の兵器」 と呼ばれるウォクスが、どういった代物なのかが鍵になってくるんでしょうし、ランは当初その 「伝説」
とやらを恐れて、ウォクスを受け入れることが出来なかったという話なので、最終的にはウォクスが星を滅ぼすほどの力を
持っている…ってところなのかと思いますが、どうして2万年経った今になって、その強大な力を手に入れようとしているのか。


そして、ユリカノはタイラたちの思惑に乗っているように見せて、一体何をする気でいるのか。
それ以前に、タイラがデ・メトリオを裏切っているように見えるのが、ミスリードされてる可能性も無いとは言い切れませんが。
実はタイラとユリカノが結託して、ディセルマインを欺くために一芝居打ってる…ということも考えられますし。


ユリカノとディセルマインを比べた場合、主観的にはどう見てもディセルマイン (レ・ガリテ) が悪役に見えますが、
アニメでは主人公のまどかが 「悪役」 のレ・ガリテ側と組んでおり、逆にこのアナザーストーリーでは主人公であるイゾたちが、
まどかの敵として立ちはだかっているところに微妙な齟齬があり、また面白いところでもあります。


ただ、イゾたちが地球に向かった目的がユリカノの意図を汲んでのことなら、いつまでもまどかと敵対し続けるとは思えません。
でもそうなった場合、レ・ガリテの王女であるランがどういう行動に出るのか ―― が、やはり興味のあるところでしょうか。


……とまぁ、色々妄想してきましたが、現時点ではまだまだわからないことだらけですね。



―― 輪廻のラグランジェ 〜暁月のメモリア〜 第1巻 (了)




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