橘公司氏原作のライトノベルをゲーム化した、精霊攻略アドベンチャー 「デート・ア・ライブ 凜祢ユートピア」 です。
開発元はSTiNG、発売元はコンパイルハート (IDEA FACTORY)、機種はPlaystation3、発売日は2013年6月27日。
原作者の橘公司氏がストーリー原案、原作イラストのつなこ氏がオリジナルキャラクター 「園神凜祢」 のデザインとして参加。
自分は、テレビアニメ (第一期) は全話視聴済みですが、原作は未読なので、知識的にはアニメで描かれた範囲内だけです。
記事中で、攻略法などには特に触れていませんが、ネタバレに対する配慮はありませんのでご注意ください。
【 OPENING THEME 】
オープニングテーマは、四糸乃、折紙、珠恵、真那を演じる声優さんのユニット 「sweet ARMS」 で、 「デート・イン・ユートピア」。
アニメ版のオープニング 「デート・ア・ライブ」 よりもハードで、恋愛ADVの曲とは思えないくらいカッコいい曲になってます。
映像はアニメーションではありませんが、曲に合わせてカットが次々と入れ替わっていくので、動きが感じられるのが良いです。
自分はアニメ版から入ったので、原作風のイラストは見慣れてませんでしたが、特に違和感も無くすんなり入れました。
歌詞はかなりストーリーの伏線になっていそうなんですけど、やっぱり凜祢視点で書かれている歌詞になるんでしょうか。
そして、 「君のシアワセ」 の “君” というのが、士道のことになるのかな。
【 INTRODUCTION 】
日常を侵す異変。結界に閉じ込められた世界。謎を解き、解決するたったひとつの方法は……デートして、デレさせること!?
このゲームの目的は、何者かによって 「結界」 に閉じ込められた天宮市で、士道に封印されている “精霊” たちの霊力が、
原因不明の逆流により暴走しやすくなっているので、精霊の精神を安定させるために、プレイヤーが五河士道となって精霊
たちとデートする、というものです。
原作でも、精霊とデートして 「デレさせる」 のが士道の役目でしたし、元々恋愛ゲームにしやすい設定の作品ですね。
プロローグでは、ゲーム内で士道達が置かれている状況の説明がキャラクターの会話によって行われますが、会話が少し
冗長に感じられて、テンポが悪くなっている気もしました。キャラクターが好きなので会話を聞くこと自体は楽しいんですが、
それでもやはりテンポは大事。うん、ちょー大事。
ただ、2周目以降のプレイでは、プロローグをスキップすることが出来るようになります。
序盤で一応この作品の概要を紹介するムービーや、世界観や登場人物について簡単に説明してくれる台詞なども入りますが、
話が進んでいくと本編で過去に起きた出来事について語ったりすることもありますし、やはりある程度 「デート・ア・ライブ」 を
知っている人向けのゲームだと思います。
【 SYSTEM 】
起動直後に少し長めのロードが入りますが、起動してしまえばそれほどロード時間にストレスを感じることはありませんでした。
基本はアドベンチャー形式で進行して、マップ画面になったらキャラクターのシンボルアイコンをクリックして、会話 (デート) する
相手を選びます。デート中に選択肢が発生することもありますが、ほとんどの選択肢は相手の機嫌を損ねるようなものを選んで
しまっても、クリアにはそれほど影響無さそうな気がします。まぁ、CGを回収出来てない可能性はありますが。
ただ、たまにバッドエンドに直行するような凶悪な選択肢が混じってることがあるので、セーブはしといた方がよさそうです。
インターフェイスでは、メッセージウィンドウの透過率が高くて透過率の変更も出来ないので、少し文字が読みにくかったです。
それに、小声で話してるのを表現するのに、フォントサイズを小さくしてるのが、見にくかったかな、と。まぁ、これは表示する
テレビによるかもしれません。
立ち絵の表示の際、「目パチ、口パク」 と一緒に頭が微かに動いてたり、髪が揺れてるのが結構細かいなと思いましたが、
十香の髪はウネウネ蠢いてるのがゴルゴーンっぽくて (笑) 、少しやり過ぎな印象を受けました。逆に、よしのんが口パクに
合わせて喋っているのは、結構新鮮な感じで良かったと思います。
それと、教室での会話シーンなどでは、殿町やタマちゃんの発言に対して、周囲からガヤが入る演出は良かったですね。
殿町が士道の恋人宣言みたいのをした時に 「キモ〜イ」 とか、タマちゃんがテストの話をした時に 「ええ〜っ」 とか聞こえて
来たりとか、こまいところですけどこれは臨場感があってよいかと。
あとは、誤字がちょっとありましたが、殿町などは士道に紹介されるシーンで 「殿町弘人 (本当は宏人)」 と紹介されていて、
さすがにそこを間違えちゃダメなんじゃないかと思いました。
【 CHARACTER 】
主人公は原作、アニメと同じく五河士道。アニメ版では島ア信長さんが声を担当していましたが、ゲーム版では無声です。
今回は琴里の霊力の恩恵が受けられないことで、「不死身」 とは言えない状態の士道ですが、相変わらず無茶・無謀に
突っ走り、自らの命を危険に晒すことも度々あります。それでも女の子のために一生懸命な姿は、やはり好感が持てます。
ヒロインとなるのは、十香、四糸乃、狂三、琴里の4精霊に加えて、ASTの折紙と “幼馴染み” の園神凜祢だと思います。
崇宮真那は本編では結構重要なキャラっぽいんですが、ゲームでは出番すら無いんですねぇ。さすがに “実妹” なので、
攻略は無理だと思いますけど。
士道と攻略対象ヒロイン以外のサブキャラとして登場するのは、殿町宏人、村雨令音、神無月恭平、日下部燎子、岡峰珠恵、
山吹亜衣・葉桜麻衣・藤袴美衣。公式サイトだと、令音はメインキャラの枠で紹介されてますが…たぶん攻略は出来ません。
殿町やタマちゃんはアニメではそれほど出番がありませんでしたけど、学校のシーンでは主に殿町が中心になって盛り上げて
くれてる感がありますし、一応デート相手を選ぶ前に会話も出来ます。ストーリーの本筋にはあまり関わってませんが、殿町は
面白いキャラでしたし、タマちゃんは声も含めて可愛いキャラだと再認識出来ました。
亜衣麻衣美衣は、美衣が 「マジ引くわー」 以外の台詞を喋ってるのを聞けたのが、とても新鮮でした (笑)。
燎子は、アニメだとASTの隊長として特に大きな活躍も見せておらず、6話でのキレ芸 (芸じゃない) の印象が強いんですけど、
ゲーム内では折紙を気にかけているまともな上司という感じでした。
【 STORY 】
▲ 一周目:鳶一折紙ルート 閉じる
『この世に精霊が存在している限り……。私は笑わない、笑えない』
折紙は精霊ではないので、本来は今回の事件に関係した士道のデート対象にはならない筈ですが、折紙がアニメ版最終回で
起こした騒動がきっかけで、精神的に不安定になっていたり、ASTの 「処分」 によっては何をしでかすかわからないとの琴里の
判断により、デート相手として認定されることになりました。
デートに誘うと高い確率で自宅に連れ込まれ、士道の貞操を奪おうとしてくる超肉食系の折紙さん。アニメの2話で言っていた、
「私も (士道の体操着の匂いを嗅いでいる)」 を実際にやっているシーンには大爆笑 (笑)。稀に見る変態ヒロインですね。
言葉数が少なくて、何を考えてるのかわかりにくい折紙ですけど、ゲームだと基本マンツーマンになることもあって、色々と話を
聞くことが出来るので、アニメで見た時よりも心情が理解し易かったですし、可愛く思えました。
しかし、折紙が両親を殺された憎しみによって精霊を傷つけることで、本当は優しい心を持った折紙の自身も傷ついてしまう
という強いジレンマを抱えたまま、それでもなお戦い続けようとする姿には痛々しさを感じます。
それと同時に、士道にそれを指摘されても絶対に認めようとしない頑なな態度を見て、折紙の5年前の心の傷がいかに深い
ものであるかを、思い知らされることにもなります。そしてそれが、折紙が 「笑えない」 理由となっていることも。
その折紙に笑顔を取り戻させることが、このルートでの士道の最終目的となっており、果たしてそれは達成されるわけですが、
士道が折紙の支えになって、折紙が背負った過去の傷なども一緒に引き受けることで、止まっていた折紙の時間を再び動かす
ことが出来た、という展開は良かったと思います。
欲を言えば、もう少し時間をかけてわかりやすくそれを見せてくれると良かったのですが、最後はノベル風に文章で語られて
気がついたらエンディングになっていた …… というのが少し残念。特に、折紙がASTを脱退するところなどは、折紙の過去を
考えれば一大決心となる筈ですし、是非ともCGと音声付きのイベントとして見ておきたかったシーンです。
しかし、エピローグでは折紙が士道との子供の名前を口にするところで終わるわけですけど、あれって何になるんですかね…。
ゲームの流れの中ではよくわからなかったんですが、両親の名前から取ったりするんでしょうか。
ストーリー的には、個別ルートで結界関連をどこまで解明するのかと思ってましたが、全然投げっぱなしのまま終わりました。
その代わり、ラストに 「To Be Continued...」 の文字が入ってましたので、あくまで物語の途中であることは明言してます。
動物園の園長失踪事件とか、ペットの神隠しとか、銀行立て篭もり犯の突然の投降とか、色々伏線らしきものはありました
けど、この辺りも最後のルートまで真相は明かされないっぽいのかな、と。
一応、折紙ルートに確定した所で園神凜祢が登場し、士道に意味深な 「約束」 をさせることで、凜祢がこの事件の重要人物
だということを匂わせますが、その後凜祢の登場は無いままエンディングを迎えました。
ただ、最後の選択肢から派生する 「バッドエンド」 のルートでは、自らを 「楽園の支配者」 と名乗る “ルーラー” が登場し、
凜祢が士道と 「約束」 した内容を口にすることで、“ルーラー” と凜祢が同一人物 (?) であることを示唆しています。
まぁ、「凜祢ユートピア」 というタイトルで、オリジナルヒロインに 「楽園 (ユートピア) の神」 、 「輪廻」 なんてあからさまな
名前が付いているくらいですし、 “ルーラー” の声も花澤香菜さんにしか聞こえないので、何となく同一の存在じゃないかと
いう気はします。ただ、凜祢と “ルーラー” の関係が明かされるのも、凜祢ルートまでお預けになりそうですね。
―― というところで、一周目は終了です。
一周目獲得トロフィー
すべてのはじまり | プロローグスタート |
さぁ、私たちの戦争を始めましょう | プロローグをクリア |
これまでのデート・ア・ライブ | バックログで貴重な記録を確認しました |
デートの準備 | オプションで設定を変更しました |
思い出の欠片 | イベントを回想しました |
折紙ファミリー | 折紙とのキャラエンディングを迎えました |
ラタトスク秘蔵回収データ・その1 | CG回収率が25%を越えました |
追記:プレイ中に選ばなかった選択肢のルート回収
折紙アクシデント | 折紙がアクシデントに巻き込まれるエンディングを迎えました |
▲ 二周目:五河琴里ルート 閉じる
『士道の背中、あんなに大きくなってたのね……。全然知らなかった』
琴里ルートは、風呂場での着替え中にバッタリとか、トイレの鍵をかけ忘れてバッタリとか、同居ならではのラッキースケベな
イベントが目白押しです。それに、士道と一緒にお風呂に入るイベントがあるのなんて、変態の折紙さんくらいかと思ってたら、
琴里も士道と一緒にお風呂に入ったので驚きましたね。
精霊の力を持つ琴里も、当然暴走の危険を抑えるために士道のデート対象になるんですが、ラタトスクの司令という立場からか、
最初は十香や四糸乃の安定を優先させて、琴里自身が士道とデートするのは後回しと考えている節が感じられました。
しかし、デートを重ねていく内に少しずつ琴里自身が士道とのデートを優先するようになって甘えてくるようになると、可愛さが
大幅に跳ね上がります。この辺りは、ツンデレキャラの真骨頂と言えそうです。
ただ、やはり 「義妹」 とはいえ、士道と琴里の関係を進展させる上で障害となるのは、世間的に見た “兄妹” という立場に
なるんですが、意外にもその一線を先に越えようとしたのが琴里で、だけどその時の士道には、琴里の想いに応えるだけの
気持ちの準備も、覚悟も出来ていませんでした。
そしてそんな士道を見て、これ以上士道との関係を変えることは叶わないと考えてしまった琴里は、「黒琴里」 を封印して、
「白琴里」 であり続けようとしてしまいます。つまり、たとえこれから先もずっと 士道に 「妹」 としか見られなくても、ずっと
士道と一緒に居るために、“本音” (黒) を隠して “妹” (白) を演じ続ける覚悟をしていた、ということでしょうね。
“妹” という逃げ道がある分、家族としてならば士道と一生変わらない関係を続けていくことが出来るから。
しかしそれは、心の痛みを抱えたまま、好きな相手 (士道) とずっと接していかなければならないという過酷で辛い選択に
なる筈ですから、琴里の覚悟のほどがうかがえます。
まぁこの辺りの展開が、士道の歯切れが悪くて、琴里の想いも見抜けないところに歯痒さも感じたんですが、普段の琴里が
司令という重責も簡単にこなしているように見えるせいで、14歳のか弱い女の子でしか無いという本質を見失っていたという
のもあるんでしょう。しかし、最後には 「大切な琴里」 のために、戦う覚悟も見せてくれて、士道らしさが戻ったように思います。
そして、エピローグでは少し大人びた琴里が登場しますが、リボンをしなくなっているということは、たぶん性格の切り替えも
無くなっているんでしょうね。琴里のリボンによる性格の切り替えが、どんな側面を持っていたのかは詳しく知らないのですが、
アニメの台詞を聞く限りだと、自分の弱さを隠して士道を守れる強い自分になるためのスイッチが、黒いリボン…でしょうか。
だけど、天宮市への精霊の出現も無くなって、士道を守るために戦う必要も無くなり、威厳を保たなければならないラタトスクの
司令という立場からも解放されたことで、リボンをする必要もなくなったと解釈すればいいのかなと。
琴里ルートでも、結界関連については特に進展なし。ということで、凜祢以外のルートは全部同じような流れになるのかな。
ただ、狂三が何をやってるのか現時点ではわからないんですが、狂三ルートでは何か違った展開があるかも (?) ですね。
―― というところで、二周目は終了です。
二周目獲得トロフィー
五河フォーチュン | 琴里とのキャラエンディングを迎えました |
五河ゴースト | 琴里と一緒に夜の池を散策しました |
【 ENDING THEME 】
エンディングテーマも 「Sweet ARMS」 で、「きっと ずっと」 。ギターが鳴り響くハードなオープニングに対して、パイプオルガンと
ピアノっぽいイントロから入る綺麗な旋律の曲で、映像にはクリアしたヒロインとの思い出のシーンが次々に流れていきます。
思い出の後ろで、ヒロインの立ち絵が曲の進行に合わせて足の方から顔の方へスクロールしてますが、最後に顔が見えた
ところでスクロールが止まり、曲が終わった後に照れた顔や笑顔になるところが良いですね。
エンディングにしては少し曲が短いのが残念ですけど、全てのルートをクリアしたらフルサイズで流れたりするでしょうか。
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