咲-Saki- 第97局 「三麻」 



石戸霞の支配によって “絶一門” の状態が続く中、姫松の大将・末原恭子が思い出していたのが、「三麻 (三人麻雀)」。
そしてこれが、怪物三人を相手に奮闘を続けて来た末原先輩に、久しぶりに見せ場をもたらすきっかけとなります。




萬子が手牌に入らない現在の状況を、昔主将や由子とさんざんやったらしい 「三麻」 と重ね合わせた末原先輩は、
この場を三麻の状況に (頭の中で) 置き換えてしまうことで、戦いやすさにつなげようと考えたようです。


しかし、三麻になって末原先輩に有利になる要素は、『三麻に慣れてる』 というただ一点のみ。実際には不利な状況は
変わっていないのですが、“絶一門” という戦いにくい状況を、視点を変えることで自分の戦いやすい状況に置き換える。
そこから和了に繋げるあたりは、柔軟な思考と適応力の高さを、この試合で初めて見せたとも言えそうです。


さらにこの和了によって、怪物相手の戦いにも 『やれる……!!』 という手ごたえを掴みかけた末原先輩でしたが…。
実はこの状況を変えたのが、凡人の思考の結果などではなく、もう一人の “怪物” の手の内に乗せられていただけだとしたら。


大将戦後半 東三局


姫松和了形         ドラ :


タンヤオ@、ドラ@、赤@ : 30符3翻 1000/2000


順位選手名学校名学年得点得点差
1石戸霞永水女子3114000
2姉帯豊音宮守女子3100700-13300
3末原恭子姫松394100-19900
4宮永咲清澄191200-22800


清澄の宮永咲は、長野県予選の決勝で天江衣の 「支配」 を受けていた時にも、凡人・池田華菜に振り込んで、嶺上開花が
封じられた状況を打開したり、副露を使って池田の手を良くすることで、衣の注意を自分から逸らしたりしていたように思います。


ハッちゃんが言うように、咲が末原先輩に を鳴かせて和了らせたのだとしたら、咲は自分の親番を流すだけの価値を、
どこに見出したんでしょうか。単純にあそこでツモをズラさないと、次巡に霞の和了で終わっていたということなのか、それとも
あの鳴きや末原先輩の和了りによって、霞の支配が及ぶ範囲を特定出来るなどの効果があったということなのか。


上家の末原先輩に鳴かせれば、咲がツモるのは下家の霞がツモる筈だった牌になりますし、ツモをズラしても絶一門が
続くのかを、確かめる意味もあったりしたのかなぁ。



そして、意外に早く見切られてしまった霞の弱点は、卓上に 「支配」 が及ばない場所がある…ということのようです。


ざっくり計算すると、一人が1局で使う牌は、配牌で13枚、ツモを17枚とした場合、合計で30枚くらい (誤差あり)。
霞の手には字牌も入る上に、数牌は1種類36枚なので、末原先輩が言うとおり霞以外の3人に最後まで絶一門が
続くと仮定すれば、王牌 (14枚) の半分以上は、絶一門になってる牌…ということになる筈です。


でも、ドラ表示牌は東一局2本場こそ霞が持つ筒子でしたが、東二局〜東四局までは霞が持っていない牌になっています。
さらに、咲がツモった嶺上牌やカンドラも同様に、絶一門以外の牌だったということで、霞の 「支配」 は王牌までは及ばず、
山の深いところまで進んでいけば、絶一門の状態が崩れる可能性が高い…ということになるんでしょう。


衣といい霞といい、王牌は不人気なのか(笑)、それとも、「王の牌」 を支配出来るのは、真の王者だけということなのか。



そしてやはりというか、「背向のトヨネ」 の代名詞 “追っかけリーチ”は、六曜が一つの 「先負」 だったようですが、
気になるのは咲のリーチを見て豊音が、 『おかげでこっちも聴牌できそうだよー』 と言ってることですね。


つまり、先んずれば負ける ―― 「先負」 の特性は、“追っかけリーチすれば、先制リーチ者から直撃を取れる” だけでなく、
“たとえ聴牌出来ていなくても、誰かがリーチをかけた時点で、豊音も聴牌出来る” ということも含まれているのかな、と。


しかし、豊音の 「先負」 に対抗するなら、そもそもリーチをしないか、先制リーチ者が一発ツモで和了ってしまうくらいしか
無いかと思ってましたが、そういえば咲にはもう一つの選択肢がありましたねぇ。リーチをかけて、豊音に追いかけられても、
豊音の和了り牌を暗槓のカン材にしてしまう、という選択肢が。


大将戦後半 東四局


清澄和了形         ドラ :


リーチ@、ツモ@、嶺上開花@ : 80符3翻 2000/4000


順位選手名学校名学年得点得点差
1石戸霞永水女子3110000
2宮永咲清澄1100200-9800
3姉帯豊音宮守女子397700-12300
4末原恭子姫松392100-17900


末原先輩や豊音が、霞の支配への対応策を見つけるのに苦労する中で、あっさりと霞の弱点を見破り、豊音の 「先負」 も
受けきってしまうあたりは、さすがに “照魔鏡” を持つ宮永照の妹、宮永咲といったところでしょうか。


そしてこの和了りによって、清澄がいよいよ準決勝進出圏内に入り、大将戦は最後の南場へ突入します。


でも、末原先輩が自信を持ち始めた矢先に、こんな芸当を見せられたら、 『メゲるわ……』 と落ち込むのも無理ないですね。
あまりにも報われないので、アンダードッグ効果で末原先輩を応援したくなって来ました(笑)。



―― 第97局 「三麻」 (了)




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