「センチメンタルジャーニー」 原作:マーカス |
第1話 「少女のためのヴァイオリン・ソナタ」。絵コンテ: 片山一良、演出:佐藤育郎、作画監督:しんぼたくろう
原作は、セガサターンで発売されたゲーム 「センチメンタルグラフティ」 ですが、ゲーム内容そのままのアニメ化ではなく、
前日譚的な内容となっており、転校してしまった主人公への想いを募らせる、ヒロイン達の心情を描いた物語かな、と。
但し、最終的にゲームと違った展開になっているように見える話もあるので、ここからゲームに繋がる物語というよりも
主人公と再会することなく、思い出を胸に前へ進んでいくヒロイン達の物語、という感じに思える部分もあります。
オープニングは、島津冴子さんのナレーションから始まり、「暗黒舞踏会」 と揶揄されたゲーム版のオープニングとは違って、
至って 「普通な」 恋愛ものらしい映像となっています。自分はゲーム版のオープニングも好きでしたけどね (笑)。
1話につき1人のヒロインをフィーチャーするという形式の全12話構成で、ゲームでいうプレイヤー (主人公) は回想以外では
登場しません。毎回、ヒロインと関わるゲストキャラクターが登場しますが、基本的にヒロインとゲストキャラクターとのやり取り
によって物語が進行するという形式が、シリーズを通して最後まで行われていきます。
第1話のヒロインは、長崎在住の遠藤晶。個人的に 「センチ」 のヒロインでは2番目に好きな女の子です。
主人公とは中学1年の2学期頃に出会った、天才お嬢様ヴァイオリニストですが、主人公が転校してしまってからコンクールでの
優勝からは遠ざかり、万年2位という結果に終わっています。
その原因を 「聞かせたい人 (主人公) が居ないから」 だと思っている晶は、神社で 「コンクールで優勝したらあの人に会える」
という願掛けをましたが、結局準優勝に終わってしまったことで投げやりな気持ちになり、大切なヴァイオリンを西海橋の上から
伊ノ浦瀬戸 (針尾瀬戸) に投げ込んでしまいます。
長崎市内と西海橋をタクシーで往復するという暴挙に出る晶ですが、これは自家用クルーザーも所有するブルジョアジーな
お嬢様だから出来る荒業であって、たとえ晶が好きでもプロレタリアートは往復100km近い距離で、同じ行動をしようなどとは
考えない方が無難です。自分も西海橋には行って来ましたが、タクシーはハウステンボスから片道だけ使うに留めました。
しかし実際に見た限り、とても橋の上から投げ込んだヴァイオリンを、再び見つけ出せるとは思えないような場所でしたけどね。
ヴァイオリンを辞めようとしていた晶を初心に帰らせたのは、今回のゲストキャラのピアニスト。最初こそサングラスをかけて
晶を尾行したりと胡散臭そうに見せてましたが、実際には晶の才能に惚れ込んでいる人の良さそうな外国人でした。でも、
最後に晶を抱きしめたのは許さん (笑)。
ストーリー的には、晶と主人公の思い出の曲 (ブラームス ヴァイオリンソナタ第3番 ニ短調 作品108) と 「願掛け」 を使って、
綺麗にまとまってると思いますし、やはりヴァイオリンの音色は表現力が強いので、クライマックスのシーンは盛り上がりました。
そして、中学生の頃の晶が主人公を待ってそわそわしてる所などは可愛かったですし、結構ツンデレっぽく恥ずかしがったりも
してましたが、ゲームをやった時の印象では、嬉しい時は嬉しいと素直に言うし、意外と感情をストレートに表現する女の子だと
思ってました。
それに、自分が美人だということを自覚していて、それを謙遜することなく言葉にしますが、それが別に嫌味に思えないですし、
自分自身にプライドを持っている女の子として、素直にリスペクト出来る子だと思いましたよ。
―― 第1話 「少女のためのヴァイオリン・ソナタ」 (了)
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