原作:タカヒロ氏、作画:田代哲也氏のダークアクションファンタジー 「アカメが斬る!」 第1巻です。
掲載誌は 「月刊ガンガンJOKER」 。
自慢の腕で一旗上げて故郷の村を救いたいと帝都にやって来た少年、タツミ。しかし、現在の帝都はタツミが夢見るような
場所では無かった。今の皇帝は年端も行かぬ子供であり、皇帝を傀儡として傍若無人な大臣が実権を握っている。
大臣は私腹を肥やし、刃向かう者は容赦なく処刑する暴君であり、大臣の周りにはおこぼれに預かるハイエナ達が群がる。
帝都到着早々、タツミは有り金を全て騙し取られて疑心暗鬼になっていたところを、富裕層の少女・アリアに拾ってもらう。
そこでタツミが耳にしたのは、帝都を震え上がらせている殺し屋集団―― 「ナイトレイド」 の話だった。
原作のタカヒロ氏の作品は、「つよきす」 のみプレイした経験があります。
作画の田代哲也氏は初見だと思いますが、意外と経歴が長い方のようなので、どこかで見てる可能性はあります。
タカヒロ氏はギャグのイメージが強いようですが、基本は 「正義」 に憧れながら 「殺人」 に手を染める主人公の成長を
描いたダークファンタジー…なのかな?ギャグが多めに進行しますが、残虐な描写などもチラホラと点在しています。
一応 「主人公」 といいましたが、タイトルにもなっている 「アカメ」 が主人公というわけではなく、正義の行いに憧れる少年
「タツミ」 が主人公に見えます。1巻ではナイトレイド全員に見せ場を与えるための措置なのかもしれませんが、2巻以降は
タイトル通りにアカメの物語となっていくのか、それともタツミの物語としてこれからも続いていくんでしょうか。
タツミは自分が信じた 「正義」 のためなら殺人も厭わないというある種の矛盾を抱えています。この手のテーマは様々な
作品でよく語られたりしますが、「勧善懲悪」 というのは相対的な価値観で 「善」 と 「悪」 を決定付けることが多いため、
結局は 「価値観の違い」 を 「正義」 として正当化する為の方便とも受け取られかねません。
作中では、タツミがナイトレイドの活動を聞いて 「正義のための殺し屋」 だと受け取る場面がありますが、その言葉を
聞いた仲間からは嘲笑されて一蹴されます。『やってることは所詮殺し』、『そこに正義などある訳がない』 ――と。
これを見ると、勧善懲悪的にナイトレイドを 「絶対善」 や 「必要悪」 として扱うつもりは無さそうですね。やはり殺人という
行為も 「悪」 であって、それが正当化されることは永遠にない――というスタンスで進行するのかなと。それに、ボスが
ナイトレイドの目的は大臣討伐だけではないとも言ってるので、単なる正義や善意では終わらない可能性もありそうです。
田代哲也氏の作画は正直あまり個性を感じられませんが、堅実的で安定しており作風とも合った絵柄だと思います。
―― アカメが斬る! 第1巻 (了)
画像の著作権は全て著作権者に帰属します : © 2010 Takahiro / © 2010 Tetsuya Tashiro