いろは坂、上がってすぐ。 第1品 「大きな腕時計」



ヤングガンガンの新連載。勇人氏の描く、ちょっぴり不思議なハートウォーミングストーリー、
「いろは坂、上がってすぐ。」 の第1話です。


坂の上にひっそりと建つ古ぼけた質屋。
お出迎えはちょっぴりお節介な女子高生と、ちょっぴり短気な黒猫…。




主人公は、高校生でいろは坂の上に建つ 「ぜにや」 という質屋の店主、雫。
既に両親は他界しているようで、愛猫の 「クロ」 と共に1人と1匹で暮らしている様子。


雫はどうやら物に込められた 「思い」 を読み取れるとか、付喪神との対話が出来るような能力を持っているみたいですね。
ただ、その能力のせいで客の持ち物に感情移入してしまい、逆に質入れしないようにお節介を焼いてしまう性分のようです。



今回は 「大きな腕時計」 を持ち込んだユカという女性の話。


ユカの細腕には不釣合いな大きな腕時計は、若くして他界してしまった父親の形見。ユカは不器用で、他人に弱味を見せない
強がりな性格のせいで誤解を受けやすいけれども、実は家族思いで誰よりも寂しがりやでした。


父親が逝去した後は、形見の腕時計を拠り所にして母親のためにと頑張って来ましたが、母親の新しい幸せを見届けた時、
自分自身には何も残っていないことに気づいてしまった。そして唯ひとつ残されていた父親との思い出すら不要な物に思えて
しまい、腕時計を手放すために 「ぜにや」 を訪れはしたものの、雫によって腕時計との思い出を見つめ直すことが出来た…。


といった感じでしょうか。



これは、飽和・飽食の時代になって物へのリスペクトを失い、何でも使い捨てるような社会へのアンチテーゼ…なのかな。
昔ながらの暖簾を下げた質屋が舞台、というのもその一端になってるのかなぁ、とか。


そういえば、品物を担保にして金を貸し付けるシステムを聞いて、ユカが 『そんな質屋あるんだ』 と感想を漏らしてましたが、
質屋のイメージってそんなもんだと思ってたら、今は 「買い取り」 ってイメージの方が強いんですかねぇ。



他の登場人物は、雫に 「月姉」 と呼ばれる、実家が銭湯のお姉さん。雫と同じ制服で 「姉」 ってことは、上級生でしょうね。
学校から帰ると銭湯の番台に座っているようですけど、番台を弟に任せて自分も風呂に入っちゃうこともあるようです。


…というか、月姉の弟って歳いくつなんだろう。さすがに中学生男子とかに、銭湯の番台はどうかと思いますけど。


メインキャラと思われる中で今回出てきたのは、この2人と1匹。今のところ恋愛要素になりそうな少年とかは登場してません。
今後も客の 「思い出話」 がメインで描かれていくのかと思いますが、それに雫たちの日常話を絡めて展開していくのかなと。


あとは銭湯があるので、適度なお色気って感じですかね。



―― 第1品 「大きな腕時計」 (了)




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