叶泰弘氏の描く、ドッキドキ鏡ラブコメディー、「鏡の国の針栖川」 の第1巻です。
掲載誌は 「週刊少年ジャンプ」。
【収録話】
#1 : 「謎の鏡」 | #4 : 「犯人はどこに?」 | #7 : 「針栖川を追え」 |
#2 : 「新しい生活」 | #5 : 「ラブミラーその1」 | 番外編 : 「真桜の裏日常編」 |
#3 : 「鏡越しの学校」 | #6 : 「ラブミラーその2」 |
週刊少年ジャンプは買っていない単行本派なので、今回購入するまで 「鏡の国の "アリスガワ"」 だと思い込んでました…。
まぁそれはさておき、「プリティフェイス」 や 「エム×ゼロ」 などを描いた、叶恭弘先生の最新作です。
叶先生といえば、可愛い女の子が登場する学園ラブコメですが、そこに一風変わった設定が入るのが特徴ではないかと。
「プリティフェイス」 でいえば、主人公が好きなヒロインと同じ顔に整形手術されて、家出中だったヒロインの双子の姉と
間違えられて、ヒロインと一緒に暮らすことになるという設定。「エム×ゼロ」 は、魔力を全く持たない主人公が、強大な
魔力を持つ天才特待生として、魔法使い養成学校に転入することになるという設定。
どちらも、主人公の 「嘘」 を誰にも知られてはいけない、という一種の "縛り" がかかっていましたが、「鏡の国の針栖川」 でも、
主人公が陥った特殊な状況を、第三者に知られることがNGという設定になっています。
ただ一つ違うのは、今までの作品では主人公の好きなヒロインにも、秘密を知られないようにしていましたが、今回はその
ヒロインだけが、主人公と秘密を共有する協力者となっているところでしょう。まぁ、さすがにこの設定でヒロインとの接触を
完全に断ってしまったら、ラブコメとして展開させるのは難しそうですけどね。
登場人物はまず、主人公の 「針栖川哲 (はりすがわてつ)」 と、ヒロインの 「里見真桜 (さとみまお)」。
針栖川にとって真桜は、子供の頃から好きだった女の子。真桜にとって針栖川は、交通事故の危機から救ってくれた命の恩人。
その事故がきっかけで、真桜と 「友達」 として仲良くなることは出来たものの、その関係が壊れてしまうのが怖くて、今まで
想いを打ち明けられずにいた針栖川でしたが、真桜に訪れた二度目の危機から再び真桜を救ったことと引き換えに、魔力を
持った鏡に閉じ込められるという不運と、真桜と秘密を共有して関係を進展させるチャンスを得るという幸運を手に入れました。
針栖川は真桜にとっては命を救ってくれたヒーローですが、一般的にはどこにでもいるごく普通の高校生。但し、真桜に限らず
知り合いがピンチであれば、見過ごすことが出来ない正義感の持ち主で、真桜の友人の咲のピンチも体を張って助けました。
ヒロインの真桜は、叶先生の作品では定番となっている、ちょっと天然ボケの女の子。男子に人気があることに自覚が無く、
「命の恩人」 の針栖川と親しげにしているために、いつも針栖川がそのとばっちりを受けている。感情表現がダイナミックで
表情がくるくる変わるのが魅力的です。
そして、もう一人ストーリーに関わって来そうなのが、真桜とは保育園から一緒だという幼馴染の松川咲。
真桜を守るのは自分の役目だと決めていたのに、その役目を針栖川に奪われそうになって、一方的に対抗心を燃やしてます。
しかし、強引にナンパされそうなところを針栖川に助けてもらい、さらに今まで一度も言われたことのない 「美人」 だと言われた
ことで、針栖川に対する気持ちに変化の兆しが見えてきました。
役割としては、進展しない針栖川と真桜の関係に変化を与える刺激剤だと思いますが、こういうストレートなキャラは好きです。
パンチラなどのお色気シーンも結構ありますけど、少年誌なので直接的な描写はありません。雑誌連載では読んでないので
比較は出来ませんが、単行本化にあたって露出度を上げたりの修正がされたということも無さそうです。
でも、個人的にこの漫画はこれくらいでちょうどいいという感覚です。自分は 「ToLOVEる-とらぶる-」 も好きですが、
あちらはSQに移籍してからエロとお色気のギリギリのラインを攻めることに注力していて、それはそれで良いんですけど、
逆にエロさ以外でキャラクターの魅力が描かれることが薄れてきたという印象もあります。
「鏡の国の針栖川」 は、お色気に頼らなくてもキャラクターの魅力が伝わってますし、十分可愛いと思えていますので、
無理にエロを強調してバランスを崩す必要は無いのではないかと思ってます。
まぁ、エロい方がいいに決まってんだろー、という意見が多いとは思いますけどね(笑)。
―― 鏡の国の針栖川 第1巻 (了)
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