叶泰弘氏の描く、ドッキドキ鏡ラブコメディー、「鏡の国の針栖川」 の第2巻です。
掲載誌は 「週刊少年ジャンプ」。
【収録話】
#8 : 「心は揺れる」 | #12 : 「大浴場危機一髪」 | #16 : 「私が好きなのは」 |
#9 : 「針栖川の失敗」 | #13 : 「サイテー男?針栖川」 | #17 : 「三角形の始まり」 |
#10 : 「キレ男 須田」 | #14 : 「誤解?そーなんです」 | |
#11 : 「それが恋」 | #15 : 「突然の再会」 |
既に打ち切り終了となっていることは知っているので、とても残念な気持ちなんですが、この巻を読んでいると針栖川が
「鏡の国に閉じ込められた」 という設定を、あまり活かしきれていないのが原因だったのかなぁ…という気はしました。
一応お色気要素として 「覗き穴」 的な役割として見れば、"鏡" は十分に効果を発揮してるとも言えるんですが、
やっぱりラブコメで当人同士が直接会えないってのは、なかなか難しいものがありそうだと思います。
特に今回は、鏡の秘密を唯一知っている真桜よりも、咲の方がヒロインかと思えるくらい出番が多かったこともあり、
咲と接触するために針栖川が鏡の外に出ている時間が長くなってしまいました。
鏡の外で、しかもヒロインとは別のキャラとラブコメを繰り広げてしまうと、せっかくの "鏡の国" という設定の価値が
希薄になってしまうので、その辺りに若干意図したこととの齟齬が出てしまったかのな…と思ってみたり。
それに、針栖川が外の世界に居るということは、真桜が鏡の中に取り残されている状態になりますし、入れ替わってる間は
鏡の中の真桜は外の様子をほとんど見れていないようなので、針栖川が何をしてるのかがわかりません。
針栖川自身は "真桜に嫌われないために" 入れ替わってるつもりでも、"針栖川が好きな相手は咲" だと勘違いしている
真桜にとっては、針栖川が咲と会うために自分と入れ替わってるのでは?と勘違いする可能性が高いわけで。
この状態が続いてると、さすがにラブコメとして二人の関係を進展させるのは難しいのではないかなと。
とは言っても、相変わらず女の子は可愛いです。特に1巻の終わりから続く咲の葛藤と、2巻終盤での告白まで流れは、
完全に真桜を差し置いてのヒロイン状態でしたし、ツンデレなのに素直に告白しちゃうところも可愛かったです。
まぁ、この咲の素直な行動力が、針栖川に変化を与えるきっかけとなるんでしょうけど、親友と好きな男のために
簡単に身を引いちゃうのは、咲の性格上仕方ないとしても、物語的にはそれ以上動かしようが無くなっちゃう気はします。
真桜も勘違いして、咲と針栖川のために応援する立場に回ろうとしてますが、二人ともいい子過ぎてあっさりしてるように
見えちゃうところはあります。この漫画に、修羅場のようなドロドロした空気を望んでるわけではありませんし、同じ相手を
好きになった者同士で紳士淑女協定を結べばいいってもんでも無いんですけど、二人とも相手に遠慮して、最初から
立ち止まっちゃうのはラブコメとして物足りない部分があることも否めません
真桜は今回、咲に比重がかかってた分、針栖川と入れ替わってるシーンが多かったので、針栖川と会話することも
少なかったですし、中盤では須田のヒロインのようになってたのがどうだったのかな。
新キャラの須田は、なかなか面白いキャラではあるんですけど、以前矢吹健太朗先生がインタビューで語ってた通り、
自分も 「ラッキースケベは主人公だけの特権」 だと思っている口なので、須田が真桜の "桃" を触ったり、温泉で
ラッキースケベなイベントに遭遇してたのは、ちょっとやり過ぎ感を受けました。
まぁ、叶先生の漫画には個人的に期待が大きい分、色々と考えちゃう部分もあるんですけど、次の巻で終了するのは
もう確定してるので、ジタバタせずに結末を見守ろうかなと思います。
―― 鏡の国の針栖川 第2巻 (了)
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