黄昏乙女×アムネジア 第2巻 めいびい



めいびい氏の美少女幽霊譚 「黄昏乙女×アムネジア」 第2巻です。
掲載誌は 「月刊ガンガンJOKER」。


【収録話】

三ノ怪:「呼び止め窓」四ノ怪:「神隠し」五ノ怪:「昏黒の夕子@」
六ノ怪:「昏黒の夕子A」七ノ怪:「高松さんと柿崎くん」



小此木ももえがトラブルメーカーとなり、順調に名前負けしない活動をするようになって来た 「怪異調査部」。
しかし、そんなトラブルの種を抱え込んできては騒動を巻き起こすももえの姿を見て、寂しそうな横顔を見せる夕子さん。


『…たまにね、今日がいつなのかわからなくなるの』
『わたしにとっては三日前も――もっと昔も、ずーっと平坦、ずーっと同じだから……』



幽霊の夕子さんにとっては、時間などに意味はありません。永遠に何も変わることのない世界に生きているのだから。
しかも貞一と出遭うまでは、目の前で人が生活しているのに、誰も居ない世界でずっと過ごしていたようなものだった筈。
貞一と出遭った今でも、他の人間は夕子さんの本当の姿を見てはくれないし、話しかけても応えてくれることはない――


だからこそ、自分を唯一受け入れてくれた貞一が誰かに取られそうになると 『また独りぼっちになるかも』 との不安に
駆られて、取り乱してしまうのでしょう。そして、貞一と一緒に居る時間を 『胸が高鳴る』 と感じられるんだろうなと…。


しかし逆に、「自分が何者なのか分からない」 という不安も同時に存在していて、今まではそれに目を背けてきたけれど、
貞一と出遭ったことによって目を背け続けることが出来なくなってしまった。それは何より、「何者かわからない」 自分が
貞一を傷つけてしまうかもしれないことが、たまらなく怖くなってしまったからなんだろうと思います。



そんな夕子さんの死に関しての謎は、少しずつ動きを見せてきました。ももえが入手した夕子さんに関する新たなる噂…。


『最初の女の子は事故で死んでいない……。学校が神社の跡に建てられたせいで神様が怒って連れて行った――


さらに新たに登場した、夕子さんの妹の孫だという庚霧江がもたらした 「幽霊になるモノ」 の定義。


霧江は、幽霊がこの世に魂を遺すのは、強い情念があるからだと言う。死の瞬間の強烈な感情の動き…苦しみ、痛み、
憎しみ、哀しみ――、それらをぶつける相手を求め、一緒に苦しみを分かち合い、そして…心を奪って連れて行くために
学園を彷徨う霊となったのだと。



しかし夕子さんの遺骸が眠る部室の地下には、神を祀る祭壇と無数に貼られた札があり、遺骸の脚は骨が折れていた…。
女生徒の死は転落事故による衰弱死か、それとも何者かによって逃げられないように脚を折られ生き埋めにされたのか。


1巻の冒頭で、土地神の怒りを鎮めるために、ある女生徒が人身御供として捧げられた…という件がありました。


地下室の発見はそれを裏付ける証拠となりうるんでしょうか。しかし人柱の話も誠教学園に伝わる怪談のひとつなのかと
思ってましたが、どうやらあの話がたったひとつの真実であり、数々の怪談話はその真実を隠すために意図的に作られ、
そして捻じ曲げられて伝えられた可能性が高いようですね。つまりは、木の葉を隠すなら森の中に――…。



今のところ怪異調査部としての活動の中で、数々の怪談話の真相が明かされていますが、そのほとんどが夕子さんの
起こした現象だったり、人間が起こした物理現象だったりしました。この学園に夕子さん以外の怪異は存在しないのか、
それとも貞一達がまだ遭遇していないだけなのか。


そして、霧江が貞一たちと別れた後に見た、幽霊らしき影は何か――



―― 黄昏乙女×アムネジア 第2巻 (了)




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