THE iDOLM@STER 2 〜眠り姫〜 第1巻 茜虎徹



茜虎徹氏によるアイドルマスター2コミカライズ、「眠り姫」 の第1巻。
掲載誌は 「月刊コミック電撃大王」。


【収録話】

STAGE1〜STAGE6、Extra STAGE



まず最初に。この漫画の主人公は千早になっていますが、自分はアニメ版アイドルマスターの20話、「約束」 を視聴した後で
読んでいるため、"如月千早の物語" に対してのハードルが最高に上がった状態での感想となります。



「眠り姫」 は、他人に対して決して心を開かない千早と、そんな千早に心を開かせるため試行錯誤するプロデューサーの
物語になっています。他のアイドル達もゲスト的に登場しますが、あくまでも主人公は千早とプロデューサーの二人です。


アイマス2のコミックとしては、先月発売された 「The world is all one !!」、先々月発売された 「Colorful Days」 と比べると、
一番クセがあって、少し少女漫画っぽい絵柄な気がしますが、この辺は好みがわかれる所かもしれません。


他の2作と比べてストーリーに重点が置かれていますが、自分が一番違和感を覚えたのが、プロデューサーの台詞回しです。



この漫画のプロデューサーは、一見すると行動や台詞が熱血っぽく感じるんですが、時々言うシニカルな言葉が結構辛辣で、
たとえば1話で千早とPの意見が対立してる時に、やよいを褒めるPに 『それなら高槻さんをプロデュースされたらいかがですか』
と千早が皮肉ったことに対して、Pは 『大人はお仕事でワガママ言えないの』 という皮肉で返します。


これを言葉どおりに受け取ってしまうと、「ホントはやよいをプロデュースしたいけど、俺は大人だからワガママを言えずに、
嫌々千早をプロデュースしているんだ」 という意味に聞こえてしまいます。これはいくらなんでも 「大人」 のプロデューサーが、
「子供」 の千早に対して返していい言葉では無いと思うんですよね…。


そして同じく1話、急な仕事が入ってタクシーで仕事場に向かう途中、渋滞に捕まって動けなくなった時のPの言葉が、
『なんで俺ばっかりこんな苦労を……』 でした。これではまるで、いつも千早のせいで苦労させられてるような言い回しですし、
"自分だけが被害者だ" と言っているように聞こえてしまいます。


実際に苦労させられてるにしても、やはりそれを本人の前であからさまに言うべきことでは無いと感じます。
これらの言葉を、冗談めかすでもなく "ため息をつきながら" プロデューサーに言わせたことには、かなり疑問を感じました。



それと、作者はおそらくギャグの一環で言わせてるんでしょうけど、プロデューサーから千早に対して 「胸が小さい」 という
趣旨のことを、面と向かって言わせてしまうところにセンスを感じませんでした。アニメのように、千早の周りをあずさや貴音で
固めて、千早本人に劣等感を感じさせるなら笑えるのですが、直接 「お前は胸が小さい」 と言わせては笑いになりません。


たとえば、亜美真美に 「千早お姉ちゃんの胸は〜」 と言わせるならまだしも、Pに言わせるべきでは無いと思いましたね。



あと、これはアニメを見たことで感じた違和感なのですが、Pが千早の家庭事情を社長から聞いて知っていたという部分。
千早が高木社長に話してるとも思えないですし、社長が両親などから事情を聞いていたとしても、アイドルのデリケートな
家庭の事情を、たとえプロデューサーと言えどもおいそれと話すとはどうしても思えません。


それに、いくら仕事に穴をあけてしまって千早が弱気になっていたとしても、プロデューサーがクラシックを勉強してたくらいで、
自分の家庭の事情を打ち明けるほど心を開くとも思えませんし、どうも千早と心を通わせる最大の難関を、あっさりとクリア
させてしまった感が否めませんでした。


その辺りの違和感が積み重なって、自分はこの漫画にあまり感情移入することが出来ませんでしたね。



これでお互いの信頼関係も築かれて、物語的にあとはトップアイドル目指して突き進んでいくだけになるんでしょうか。


一応この後は、美希と春香と3人でユニットを組ませるようなので、アイマス2的に言えば 「団結」 をテーマにして、
アイドル同士の意見の衝突などから結束を強めるような経験をさせて、さらなる成長を表現していくのかもしれません。



―― THE iDOLM@STER 2 〜眠り姫〜 第1巻 (了)




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