百合×薔薇 第1話 「ひめゆりと大きな剣」



原作:伊藤ヒロ氏、キャラクター原案:高見明男氏、漫画:たもりただぢ氏によるスーパーダッシュ文庫原作のコミカライズ。
「百合×薔薇」 の第1話、「ひめゆりと大きな剣」 です。



ライトノベルの原作は未読です。たもりただぢさんによるコミカライズということで、雑誌を買って読んでみました。



第一印象としては、「マリア様がみてる」 の世界観でバトルする漫画、でしょうか。“花 (リリ)” という特殊な武器を使う
「花使い (リリス)」 と呼ばれる少女達が、学院内の覇権を賭けて戦う物語 ―― みたいな感じ?


主人公は、「はいからさんが通る」 を彷彿とさせる “花邑べにお” 。しかし、男勝りで跳ねっ返りな本家の紅緒とは対照的に、
べにおは気が弱くて大人しそうな性格の、俗に言う “男の娘” です。傍若無人な姉、しらゆきの言葉に逆らうことが出来ず、
乙女の園である国立バーネット女学院に転入させられるという幕開け。


どうやら、このしらゆきが “失ったもの” を取り戻すために、べにおが文字通りに首に縄をつけられて、引っ張り出されたよう
ですが、話の流れからするとしらゆきは 「百合の派閥」 の “元” リーダーと言われているので、派閥内の抗争でトップの座
から引き摺り下ろされたとか、対立する派閥との抗争に敗れて失墜してしまい、“弟” を使ってその連中に復讐するとか、
そんなところでしょうか。


「派閥」 は、花の分類によって分かれているようで、しらゆきは 「百合の派閥」、そしてべにおのクラスメートであり、級長の
福永弥鈴は 「蘭の派閥」 と言われてます。まぁこれについては、当然派閥に属さない生徒ってのも居るんでしょうね。ヤヱ
なんかは見るからにノンポリっぽいですし。



登場人物を見ると、まず主人公の花邑べにお。女装と上目使いが似合う 「男子高校生」 。転校早々、クラス全員を相手に
喧嘩を売って、逆上した弥鈴や冨美絵らを返り討ちにしてしまった実力の持ち主……かもしれません。


今のところ、主人公が “男の娘” である必要性は特に感じられません。たとえしらゆきの “妹” だったとしても、話としては
普通に成り立つと思います。これは単純に、べにおが男だった方が面白いからとか、そういう理由でしょうか。


べにおの使った力は、べにお自身の力というより “超銀河伝説剣” の持つ力という感じに見えます。でも、いくら剣が強いと
言っても、あれだけの剣技が使えるとは思えませんし、べにおもそれなりの力は持ってるってことかなぁ。「Lilium concolor」
というのはヒメユリの学名らしいので、べにおが 「姫百合の君」 と名乗っているのも、この剣に由来するのだと思います。



次にべにおの姉、花邑しらゆき。半年前に何らかの理由で大怪我を負い、以来ずっと自宅療養していたという “白百合の君”。
半年ぶりに学院に戻ってきたということですが、べにおのクラス内でも 『大ファン』 という生徒も居れば、『過去の人』 呼ばわり
する生徒も居て、しらゆきに対する評価はかなり分かれている様子です。


これは、半年前の出来事が大きな原因らしく、べにおが転校して来たことで、1年A組でも 『“あの” 白百合の君の実妹』 とか、
『揉め事に巻き込まれない?』 とか言われてます。


ただ、冨美絵が 『こんな時期だもの、人数は多い方がいいんじゃなくて』 と、クラスに人が増えるのを歓迎するようなことを
言っているので、他のクラスとの対立が起こってるってことかな?べにおが教室に入った時に、『残念、あまりお強くなさそう』
とも言われてたし、何らかの戦いのために即戦力が望まれていたのかな、と。


しらゆきの腕の包帯は怪我の所為…だと思われますが、骨折とかであれば半年ってのはかかり過ぎですし、実際は怪我は
治ってるんじゃないかなぁ…。べにおの持つ剣と右腕がリンクしていて、剣を通して力を使える ―― とかですかねぇ。



1年A組の級長、福永弥鈴。花名 (コーデリア) は 「鈴蘭」。第一学年一五二名のうち、たった八名しか存在しない “君” を
名乗る栄誉を与えられた実力者で、通称 「鈴蘭の君」。ツインドリルにツンデレのいかにもなお嬢様。べにおに一目惚れ (?)
して、少し強引に仲良くなろうとする辺りはなかなか可愛いです。


“コーデリア” という言葉を、どういう意味で使ってるのかはちょっとわかりませんが、“君” というのが一年に八名居るって
ことなので、次回以降べにおは弥鈴の他の7名辺りから、攻略を開始する感じになるのかな。


そして、花名 「梔子 (クチナシ)」 の神田ヤヱ。ちんまい小動物系で、話かける時に袖を引っ張るところとか、べにおに 『ヤヱ様』
と呼ばれて 「むっふ〜〜」 となってるところが可愛かったですね。


他に名前が出てるのは、斜め前髪にピン留めした眼鏡っ子の副級長、伊庭冨美絵。花名は 「ポインセチア」。初回からべにおの
攻撃で大股開きさせられる (笑) 、残念なやられ役。あとは最後に出て来たショートカットが、べにおの次の相手になる “君” の
一人だと思いますが、まだ名前も出てないのでよくわかりません。



そんな感じで、絵を目当てにして読んでみましたが、話もわかり易いですし初回としては悪く無いと思います。


そして個人的にはやっぱり、たもりただぢさんの絵が凄く好みです。「CANDY WRAP」 も持ってます。女の子も可愛いですし
(一人男が居ますけど) 、表情の付け方とか、アクションシーンの見せ方も上手いです。特に、最後の 「パッヘルベル輪唱」
の衝撃波ごと弥鈴を斬るシーンは、今回一番の見せ場として格好良く描かれていました。


原作がラノベということでどんなものかと思いますが、とりあえず絵に期待して読んでみようかな、と。



―― 第1話 「ひめゆりと大きな剣」 (了)




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