恋染紅葉 第1巻 坂本次郎/ミウラタダヒロ



原作:坂本次郎氏、漫画:ミウラタダヒロ氏による、格差恋愛ストーリー、「恋染紅葉」 の第1巻。「出会い 夕焼け 海岸線」 です。
掲載誌は 「週刊少年ジャンプ」。


【収録話】

シーン1 : 「出会い 夕焼け 海岸線」シーン3 : 「普通のコト」シーン5 : 「覚えてる?」
シーン2 : 「初デート」シーン4 : 「ナナちゃん?」特別読切 : 「恋染紅葉」



「恋染紅葉」 は、古都・鎌倉の県立恋ヶ浜高校に通う純情高校生、葛城翔太と、主演するドラマの役作りのために、舞台と
なる鎌倉に転校して来たモデル兼女優・紫之宮紗奈の二人が繰り広げるラブコメディです。


芸能人と一般人の恋愛物語…と聞くと、二人でデートしているところを写真週刊誌にスクープされて、所属する芸能事務所に
引き離されてしまう二人とか ―― 、自分にはそんな貧困な発想しか出来ないんですが (笑)。


まぁ現実的に考えちゃうと、売り出し中の若手女優が、ドラマ初主演を前にした大事な時期に、スキャンダルになりかねない
ような行動をしてるのはどうなのかって気もするんですけど、一応これはドラマの監督から直々に 「恋愛を経験しろ」 と指令を
出されてるということで、恋愛物語を展開させる上での免罪符にしてるのかな、と。


メインで登場するキャラクターは、1巻時点では3人。主人公の葛城翔太、ヒロインの紫之宮紗奈と七里由比。


紗奈は、黒髪ロングにセーラー服で、可愛くてスタイルも性格も良くて、さらに料理も出来るという完璧ヒロインっぷり。だけど、
役作りのためとはいえ出会って間もない翔太に、自分から抱きついちゃうようなガードの甘さとか、キスの経験までしようとする
世間知らずなお嬢様ぶりとか、恋愛に不慣れで擦れた所の無い純粋さとかが、ヒロインとしての魅力なのかなと思います。



翔太の方は、好きな子の前に出ると赤面してしまい、何も出来なくなる奥手な性格。しかし、紗奈と出会ってから積極的に
なろうと勇気を振り絞り、最初は “フリ” とはいえ人気上昇中の若手女優の 「彼氏役」 を射止めたラッキーボーイ。さらに、
昔転校してしまった初恋の相手が、グラビアアイドルになって帰って来た上に、翔太に懐いてくるというモテ期到来の予感。


その翔太の初恋の相手、七里由比。ドラマ 「恋染紅葉」 では紗奈と共に主演を務めるという現役グラビアアイドル。ラブコメで、
主人公に惚れるヒロインが複数登場するってのは定番なんですけど、主人公がメインヒロインに一途な状態だと、相思相愛の
二人を困らせる存在だったり、メインヒロインを輝かせるための、かませ犬的役割にしかなれない可能性もありますからねぇ。


翔太も由比は初恋の相手とはいえ、今は全然意識が向いてないみたいですし、翔太と紗奈で結果が決まっているデキレース
なら、失恋を定められた悲しい運命が待つだけなので、由比がいい子であればあるほど切ない気持ちになりそうです。


まぁ、実際にこの先どう展開していくのかはわかりませんけど。



この漫画を読んで珍しいと思ったのは、主人公の友人グループに、恋愛に発展しそうもない女友達が居たこと…かな。


これまた勝手なイメージとして、こういうラブコメの主人公に悪友的な女友達が居ると、最初はふざけあうだけの男友達的な
関係から、ふとした瞬間に恋心に気づいてフォーリンラブとか (笑)、ベタな展開しか思いつかないので、翔太の交友関係は
結構珍しいかなと。男3人、女2人のグループというのも、微妙にドロドロした恋愛模様に発展しそうな人数配置ですしね。


でも今のところは、奥手な翔太をからかいながらも、恋の手助けしてくれる応援団…的な役割でしょうか。


内容的に1巻の段階では、まだよくある王道的なラブコメかなぁ…という印象です。主人公の翔太には、正直それほどモテる
だけの素質を感じないんですけど、ヒロインの二人は可愛いと思います。個人的には、不思議ちゃん系な由比の方が好みかな。


ジャンプの連載は読んでいないので、この先の展開は全然わからないんですけど、ヒロインを増やしすぎてハーレム状態になる
のはちょっと違う気がしますし、かと言って紗奈と由比の三角関係で展開するには、勝負が目に見えちゃってる気がするので、
どんな感じになって行くのかな、と。やっぱり、イケメン俳優が一方的なライバルとして登場とかでしょうか (どこまでもベタ) 。



そして1巻には、連載前に読み切りとして掲載された 「恋染紅葉」 も収録されてます。


紗奈が女優で、翔太が赤面性の高校生という設定は変わりませんが、紗奈の苗字が瑞原で翔太の苗字が相原だったり、
翔太のビジュアルがちょっと違って、連載の方が少し童顔っぽくなってそうです。まぁ、紗奈の苗字変更はお嬢様っぽさを
際立たせるためかなって気がしますけど、翔太の苗字変更は、さすがに某芸能人みたいな名前になるからでしょうかね。


翔太のビジュアル的は、読み切りの方が連載よりもイケメンぽく見えますが、これは奥手で女の子が苦手な感じを強調する
ための変更なんでしょうか。まぁ、別に連載の翔太が不細工ってわけでは無いですけども。


一応読み切りの方は、翔太が恋愛成就の伝説を持つ 「八つ葉もみじ」 を見つけ出したりして、タイトルの 「恋染紅葉」 とリンク
してますけど、連載の方はまだ紗奈が出演するドラマが全然進んでないので、読み切りと同じように 「八つ葉もみじ」 が物語に
関係してくるのか、全然別の展開になるのかはわかりません。


でも、タイトルを変えずに連載を始めたってことは、“紅葉” というアイテムが、何らかの形で関わってくるのかな、と。



―― 恋染紅葉 第1巻 (了)




「恋染紅葉」 の画像の著作権は全て著作権者に帰属します : © Tsugirou Sakamoto 2012 / © Tadahiro Miura 2012



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