アイドルマスター シンデレラガールズ 第1話 「Who is in the Pumpkin carriage?」


「アイドルマスター シンデレラガールズ」


原作:バンダイナムコゲームス
監督:高雄統子
アニメーションキャラクター原案:杏仁豆腐
シリーズ構成:高雄統子/橋龍也
キャラクターデザイン:松尾祐輔
音楽:田中秀和(MONACA)
制作:A-1 Pictures


第1話 「Who is in the Pumpkin carriage?」
脚本:高橋龍也、絵コンテ:高雄統子、演出:原田孝宏/矢嶋武、作画監督:松尾祐輔


「アイドルマスター シンデレラガールズ」 の画像の著作権は全て著作権者に帰属します : © BNGI / PROJECT CINDERELLA




原作は携帯端末用ソーシャルゲームの 「アイドルマスター シンデレラガールズ」。
765プロ所属のアイドル達が活躍する、本家 (と言うのかわかりませんが) アイドルマスターからの派生作品です。


自分はXbox360の 「無印」 と、PS3版 「2」 でのプロデューサー経験があり、「デレマス」 は最近始めたばかりです。


原作となるゲーム (育成シミュレーションとソーシャルカードゲーム) の違いもありますが、765プロのアイマスは既にキャラクター
の個性や世界観が固まっていて、自分も登場人物に慣れ親しんだ状態でアニメが始まりましたが、デレマスはそれぞれの個性
や関係性だったり世界観だったりが、まだあまり掴めていませんし、キャラクター名すら覚えていないアイドルもいます。


と言うか、200名近く居るキャラクターの顔と名前なんて、簡単には覚えきれません。


まぁ、このアニメではメインとなる 「シンデレラプロジェクト」 のメンバーを14名まで絞っているようなので、覚えきれないという
ことはありませんが、自分がこの辺りのメンバーのカードはほとんど持っていない現状ということもあり、どんなキャラなのかは
アニメで初めて知る子が多いと思います。


一応、メインキャラ以外の登場もあるらしいですが、斯くいう自分の 「担当アイドル」 の登場は、ほぼ絶望的だと思います (笑)。



「Who is in the Pumpkin carriage? 」 ―― カボチャの馬車の中に居るのは、誰?


偶然、ライブ会場に居合わせた卯月、凛、未央の3人が小道具の 「ガラスの靴」 を階段から落として、それを後の “王子様”
(プロデューサー) が拾うというのは、「シンデレラ」 の名称を冠する物語として、効果的な始まり方だったんじゃないかと。


雪の舞い落ちる東京の街並、午前0時を指す時計の針、魔法をかけられたシンデレラ達の “舞踏会” が始まる。


イントロが終わると同時に鐘が鳴り響き、ライブが始まった瞬間は鳥肌が立つ感覚でした。街中のモニターにはライブ映像が
流れ、或いは無感心に通り過ぎ、或いは興味深く見守っている未来のシンデレラ達。劇中の空気観と、季節観と、登場する
アイドル達の現在の気持ちまで伝わって来るようで、一気に物語に惹き込まれてしまいました。


曲のサビで、重要な歌詞を文字に起こして表示する手法は、無印アイマス1話の 「The World is all one !!」 を思い出させて
くれましたし、演出的な世界観の繋がりが感じられたかな、と。



「765プロの物語」 は、既に全員プロダクションに所属していて、駆け出しながらもアイドルとしてスタートしている少女達の
お話でしたが、こちらはまだアイドルとしてスタートすらしていないという状況で始まりました。


ただ、同じ事務所の先輩になる高垣楓達は、既にトップアイドルになっているようですし、劇中で卯月が楓の広告を見かけて
「あんな風になれたら」 と言っていたので (その後広告が上田=ファラオ=鈴帆に切り替わった時は大爆笑でしたが) 、
同じ346プロに所属していても、卯月達と先輩アイドル達の関係は、765プロのような家族的な関係とは違って来そうですね。


今回の第1話では、卯月と凛の 「アイドルとしての出発点」 が描かれていますが、「アイドルマスター」 という作品において、
各キャラクターにとっての 「『アイドル』 とは何か」 というテーマは、特に大事に扱われていると感じます。


765プロの時は、1話でプロデューサーが行っていたインタビューの最後に、「あなたにとって 『アイドル』 とは?」 という質問を
全員に答えさせていました。それは、漠然とした理想だったり、子供の頃からの夢だったりと人それぞれでしたが、アイドル一人
ひとりの出発点を知る上では欠かせない、重要な要素だと思います。



島村卯月にとってのアイドルは 「夢」 。ずっとスクールでレッスンを続けて来て、いつの日かきらめく舞台でデビュー出来ることを
願っていたシンデレラ。自分の 「夢」 を叶えてくれるかもしれないPを全面的に信用して、デビューが決まってもレッスンばかりの
毎日にも文句を言わず、多少落ち込んでもすぐに立ち直れる前向きな性格で、表情がくるくる変わるのが魅力的な女の子です。


プロデューサーが、卯月を選んだ理由に 「笑顔」 を挙げたのは、個人的に非常によくわかります。自分が原作のゲームを
プレイしていた時に、ある卯月のカードを見てまさに 「こんなに笑顔が可愛い子は久しぶりに見たなぁ」 と感じましたから。


まぁ、凛を選んだ理由にも 「笑顔」 と答えていたのはちょっと 「あれっ?」 と思いましたけど (笑)、「ハナコ」 を凛の名前と
勘違いして焦っている卯月を見て、笑っていた凛は確かに可愛かったので、理由として間違いとは言えませんね。


凛にとっての 「アイドル」 が何なのかは、まだわかりません。というより、多分これからそれを見つけていくのだと思います。


クールに見える外見のせいか、渋谷ハチ公前で遭遇したようなトラブルにも巻き込まれがちなようですが、子供のおもちゃを
踏みつけないように立ち止まってあげたりとか、不審者と間違われて警察に連行されそうなプロデューサーを慌ててフォロー
したりとか、心優しい内面が垣間見えます。



プロデューサーの考えた通りなら、「夢中になれる何か」 、「心を動かされる何か」 を持っていなかった凛は、現状を変えたい
と思っていたわけでもないけれど、言い知れぬ物足りなさも感じていた、という所なのかなと。ただ、凛自身にそんな自覚は
無かったでしょうし、自分の心を見透かしたようなことを言う目つきの悪い男に、反発心を抱くのは当然の流れだと思います。


でも、同年代で人懐っこい卯月がいい中和剤となって、素直に話を聞ける状態になっていたところで、自分には無い 「夢」 を
持って輝いている卯月の笑顔を見て、心を動かされてしまった。それくらい、あの時卯月が見せた笑顔は輝いてました。


無印アイマスのPは、社長にスカウトされたばかりの新人ということもあって、若くて熱血漢だけど少し空回りする時もあるという
感じで、アニメ版はPの成長物語としての側面も持ってましたが、「デレマス」 はゲームでもPの台詞やモノローグなどは無いし、
新人なのかベテランなのかもわからないので、「プロデューサー像」 というのが全く想像出来ませんでした。


今回初めて見た 「デレマスP」 は、不審者に間違われるという予想外な登場の仕方と、大柄で三白眼という人相の悪さと、
寡黙で生真面目そうな性格という、かなり意外な印象を受けるキャラでした。しかし、警察に事情を聞かれて困っていた凛を
助けたのは、打算の無い正義感からでしょうし、凛を待ち続けていたのも熱意の表れだと考えれば、立ち回り方が不器用な
だけで、このPなりの思いやりと仕事への情熱を持っているのだろうと思います。



その熱意が一応伝わっていたからこそ、本来は付き纏われて迷惑してる筈の凛が、警察に連行されそうなPをフォローした
のでしょうしね。今後、アイドルとどんな接し方をして行くのか、興味を持てるプロデューサーではあります。


登場人物が多いアニメだと、1話でとりあえず全員紹介するという展開もありますが、今回はメインの2人のみをフィーチャリング
して、卯月と凛のアイドルとしての始まりが丁寧に描かれていたと思うので、原作に触れた事の無い人でも、すんなり入り込めた
のではないかな、と。ゲームやってても世界観をよく理解出来てなかった自分なんかも、かなり助かりました。


原作にも決まったストーリーがあるわけではないので、この先どんな展開になるのかはわかりませんが、卯月と凛は可愛くて
1人のプロデューサーとしても応援したくなりましたし、最後に出て来た本田未央を含めてまだまだシンデレラ達が控えてます
ので、次回以降が非常に楽しみです。



―― 第1話 「Who is in the Pumpkin carriage?」 (了)




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